秋になると紅葉して葉を散らす植物があるのはなぜ?

わかる!科学

秋になると、紅葉やカエデ、イチョウなどの葉っぱはきれいに色づき、私達の目を楽しませてくれます。散りゆくさまに風情を感じるのは、日本人だからでしょうか。しかし、なぜ、こういった秋になると葉を散らす落葉樹は、そんなことをするのでしょうか?私達を楽しませるため?いえ、違います。ちゃんと科学的な理由があるのです。

秋に葉を散らし、春にまた葉っぱを作るなんて、一見無駄なことをしているように見えます。しかし、これには深いわけがあるのです。無駄をしているのではなく、本当は節約をしているのです。

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植物は葉っぱで光合成をして栄養を作っている

植物は育つために、太陽の光と水と二酸化炭素そして養分を必要とします。窒素化合物などの養分と水は、根っこで土から吸い上げます。そして、葉っぱで太陽光を浴び、光合成によって、二酸化炭素と水から栄養分となる糖を作っています。この光合成をになっている物質が、葉緑素です。葉っぱが緑色をしているのは、この葉緑素のおかげです。また、光合成の効率を上げるためにカロチンといった、人参の色と同じ色素も持っています。

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冬が苦手な葉っぱたち

冬になると寒くなりますよね。タンスから暖かなコートをひっぱり出して着ることで、私達は暖をとることができますが、植物にはそれができません。光合成のために大活躍をする葉っぱですが、寒さには強くありません。ためしに、外で葉っぱをとってきて、冷凍庫に入れてみましょう。一晩凍らせてから、お皿に乗せて解凍させてみましょう。どうなるでしょうか?

ベチャベチャになって、形が崩れてしまうのがわかるでしょう。葉っぱには多くの水分が含まれています。水は凍ると体積が増えるという性質があります。そのため、細胞を支えている壁を内側から破壊してしまうのです。しかし、葉っぱの中には、柊のように寒さに強いものもあります。こういった寒さに強い葉っぱは紅葉しません。

紅葉するのはエネルギーを無駄にしないため

凍りつく寒さの中では、弱い葉っぱは凍ってしまった後傷んでしまい機能が失われます。葉っぱの中には栄養分も含まれるため、そういったものが全部無駄になってしまうのです。栄養を生み出す葉緑素を作るためにも栄養分がいるのですが、それも無駄になってしまいます。

そこで、落葉植物は秋になると葉緑素を分解して、栄養分に戻します。それを、幹や根っこに蓄えるのです。このようにして葉緑素のなくなった葉っぱは色を失って、赤やオレンジ、黄色に変色します。色は、光合成の補助のために使う他の色素や、化合物によって変わってきます。そういった色素には栄養分は含まれません。

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葉緑素の完全になくなった葉っぱは死んで、カラカラに干からびます。そして、最期には木の枝からハラハラと降り注ぎます。木の下に降り積もった枯れ葉も、別に無駄になるわけではありません。地面で分解されて再び木の根っこから養分として吸収されるのです。

春になって気候が良くなると、貯め込んだ栄養分を使って、再び葉っぱを作り、葉緑素を作り、光合成が開始されます。そして、また、秋が来るまでの間、栄養分を作り続けるのです。

参考記事: The conversation

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