「果てしなく広がる宇宙」なんて言いますが、本当に宇宙は無限なのでしょうか?現在の知見から、「おそらくは無限なのでは?」と言われていますが、実際のところその答えを知る人はいません。今後わかるかもしれませんが、今現在はわかっていないのです。しかし、科学者たちは無限に広がっていくものと考えています。なぜでしょう?
宇宙は大きいです。地球を、太陽系のすべての惑星を、夜空に浮かぶすべての星を含んだ上に、遠すぎて見えない銀河まで含んでいます。
そう遠くない昔、人々は夜空に浮かぶすべての星が宇宙のすべてと思っていました。しかし、エドウィン・ハッブルがこの見方を大きく変えてしまいました。ハッブルの発見は素晴らしいもので、彼の名前はハッブル宇宙望遠鏡の由来にもなっています。
遥か遠くの星
100年ほど昔、天文学者だったハッブルは、目に見えるすべての星の間に潜んだ、ぼんやりした小さな光のシミを観察していました。当時は誰も、それが何であるのか知りませんでした。ハッブルは、この光のシミが星々によって形成されていることを発見し、更に、それらが遥か遠くにあることを見つけました。この発見によって、宇宙の概念は爆発的に広がりました。
私達が夜空に見ている星は、天の川銀河の一部をなす星たちです。私達の太陽系もこの銀河の一部なのです。ハッブルが発見した光のシミは、他の銀河でした。それらの銀河にも多くの星や惑星、その他の星間物質が含まれています。ある銀河は天の川銀河よりも小さく、またあるものは巨大です。宇宙はそれまでに人々が考えていたよりも遥かに大きかったのです。
無限を見るには?
宇宙は巨大ですが、それは無限に続くのでしょうか?問題は、私達が無限に遠くまで見ることができないことです。見ることのできる宇宙には限りがあるのです。それはまるで、玄関のドアから街を見るようなもので、すべてを一望することはできません。
私達が見ることのできる宇宙の一部のことを、「観測可能な宇宙」と言います。観測可能な宇宙は私達が見ることのできるすべての光を含みます。というのも、観測可能な宇宙は光によってしかとらえられないからです。
観測可能な宇宙については大きさがわかっています。それは、930億光年の広さがあります。この距離は、見つけた天文学者にとってでさえ途方も無い数字でした。それは、天の川銀河を30万周回るのと同じ距離で、太陽が生まれてから現在までに回った距離は20周に過ぎません。
さらに、観測可能な宇宙の中心は観測している私達の住む地球ということになります。もし、遠くの銀河にいる異星人がいるとすると、彼らにとっての観測可能な宇宙があることになります。異星人たちの観測可能な宇宙の中心は、彼らの住む惑星です。
もし、私達の観測可能な宇宙と異星人の観測可能な宇宙が重なっていれば、異星人たちも私達と同じ天体を見ていることになります。私達に観測できる宇宙の外はどうなっているのでしょうか?異星人たちには宇宙の境界の空っぽの空間が見えているのでしょうか?
おそらくそうではないでしょう。異星人たちに見えている宇宙は、ただ私達が見ることのできない宇宙の一部であるに過ぎないでしょう。
理論上、宇宙はどんどん拡大する
では、なぜ科学者たちは宇宙は無限に広がると考えているのでしょうか?それは宇宙の形に原因があります。私達の観測可能な宇宙が特別な形をしているからです。その形とは、「平坦」です。
それが意味しているのは、もしあなたの友達とあなたが宇宙船を持っていて、宇宙にまっすぐ飛ばした場合、いくら飛ばしても永遠に出会うことがないということです。実際、観測可能な宇宙内を、常に正確に全く同じ距離だけ離れて進むことになるでしょう。
しかし、これは非常に特別なことなのです。もし宇宙が別の形をしていたら、別のことが起こります。2台のロケットが並んで真っ直ぐ進んでいても、最終的に進路が重なってぶつかったり、非常に近づくけれども決してぶつからないということもありえます。あるいは、全く別の方向へと進んで別れてしまうかもしれません。
平坦な宇宙でのみ、ロケットは全く同じ距離を保てるのです。
宇宙の形とその進化には関係があります。宇宙の時空が曲がっていて閉じているとすると、物質の質量によって宇宙は縮み始めます。逆に、サドル状に広がっているとすると物質が維持できないほどに宇宙は広がってしまいます。現在物質が存在し、塊になっていないことからしても、宇宙は平坦なのでしょう。
科学者たちはこの特別な平坦性を説明する方法を持っています。さらに、その方法によって、なぜわたしたちの見ている宇宙がその様になっているのかを説明できます。
もし、ある方法で多くの問題を解決できる場合、科学者たちはそれを理論と呼びます。つまり、正しい答えを見つけるための正しい道筋をたどっているということです。
その理論(インフレーション理論)によると、宇宙は非常に大きいのですが、わたしたちはその一部しか見えません。その見え方は特別で平坦です。例えるなら、地球が地表からは平坦に見えるのに、宇宙から見ると丸く見えることに似ています。遠くから見ることで、地平線が曲がっていることがわかるのです。
宇宙はおそらくは、無限に広がるんだと思います。宇宙の膨張速度はいまでも加速し続けています。しかし、将来どうなるかはわかりません。その答えは将来の研究によって明らかにされるでしょう。
参考記事: The Conversation
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