金星の大気中に、ホスフィンと呼ばれるガスが発見され、金星に生物が存在する可能性が高まったとして注目を集めています。
地球と大きさが近く、距離も近いことから、双子の惑星として生命の存在が期待されていた金星ですが、その過酷な環境の実態が明らかになるにつれて、その期待もしぼんでいました。
地表の温度は460℃。厚い大気のほとんどは二酸化炭素で、硫酸の雨が降ります。
そんな環境で生きられる生物なんてい無いだろうと考えるのが普通でしょう。
しかし、大気圏の中層には気温が穏やかな部分があり、常に雲が発生していて、バクテリアが栄養源とできるような物質も豊富であるなど、生命がいてもおかしくない環境もあるのです。
高濃度の硫酸環境で生きられる生物がいれば、金星に生物がいてもおかしくないのです。
ただ、地球上にはそのような生物はいないため、いままで金星で生物を探す試みはなされてきませんでした。
今回、「Nature Astronomy」に掲載された論文では、金星の大気の中層にホスフィンと呼ばれる物質が見つかったことが報告されています。
ホスフィンとは、リンと水素からなる化合物(PH3)で、有毒なガス状の物質です。
この物質が作られるのは、主に生命活動においてであり、他の化学反応で作られるためには木星内部のような過酷な環境が必要となります。
発見されたホスフィンの濃度は、地球大気中のホスフィンのなんと1000倍。
ホスフィンは光によって分解するので、測定されたホスフィンの量を維持するには今現在も何らかの方法で合成され続けていなければなりません。
それほどの量を合成し続けられるのは、生命活動でしかありえないと考えられるわけです。
あるいは、まだ見つかっていない、非生物的な合成方法があるのかもしれませんが、今現在わかっている合成方法では全く説明できません。
観測は、ハワイの電波望遠鏡と、更にチリにあるアルマ電波望遠鏡で分光装置を使って行われ、それぞれ独立にホスフィンを検出することに成功しています。
金星に今も、地球外生命が存在しているかもしれません。
もしいるとすれば、大気中で生命が生まれたとは考えにくいので、かつて金星が穏やかな環境であった時に、地上で生命が生まれて繁栄したのかもしれません。
可能性が高いとはいえ、今回の発見は状況証拠にすぎません。
本当に、生命がいることを確認するためには、金星に探査機を飛ばして大気を調べる必要があります。
NASAは、今後金星にも探査機を送ることになるでしょう。
金星の軌道からよりくわしくホスフィンや他のバイオマーカーを調べるために、探査衛星を飛ばしたり、大気中に突っ込んで直接物質を採取して調べる探査機を飛ばすことなどです。
もし、金星に生物がいるとしたら、どのような生物なんでしょうか?地球の生物と似ているのでしょうか?それとも全く違った生物なのでしょうか?
DNAからして違うんでしょうか?それともDNAではない遺伝物質を持っている可能性もあるかもしれません。
次の展開が楽しみです。
参考記事: The Conversation
コメント