空気中から二酸化炭素を効果的に除去できる装置が開発される

CO2排出 エコロジー

空気中から二酸化炭素だけを効率よく回収できる、安価な方法が開発されました。普及のための会社も立ち上がり、地球温暖化を防ぐ一助になりそうです。

地球温暖化の原因は人間活動によって増加している温室効果ガスであると考えられています。二酸化炭素はその中の一つで、化石燃料を燃やすことで増加しています。温暖化の影響が実感されつつある今、どうにかして大気中の二酸化炭素を減らす必要があるでしょう。

これまでも空気中から二酸化炭素を除く方法は存在していたのですが、その多くは空気中に高濃度の二酸化炭素を必要としていました。増えているとはいえ、大気中の二酸化炭素濃度は400ppm程度であり、効果的にのぞくことができなかったのです。今回、MITで開発され「Energy and Environmental Science」で発表された方法では、大気中の薄い二酸化炭素を選択的に集めることができます。

新たな方法では、特殊な電極を使った電池を使います。この電池が充電された状態になると、電極では電気化学的な反応がおこります。この特殊な電極に空気を触れさせると、空気中の二酸化炭素だけが選択的に吸着されるのです。電池を放電させると、電極では逆の反応が起こり二酸化炭素は分離します。分離した二酸化炭素だけを集めることで、高純度の二酸化炭素を集めることもできます。

集めた二酸化炭素は、飲み物に含ませて炭酸飲料と作ったり、ハウス栽培の作物の収量を上げるために使うことができます。現在、これらの目的のために多くの燃料が燃やされており、それが代替されることで、温室効果ガス削減に役立つのです。また、集めた二酸化炭素を地中に閉じ込めて減らすこともできます。

この技術の鍵となっているのは、電極をコーティングしているポリアンスラキノンで、カーボンナノチューブと合成されたものです。この素材によって、二酸化炭素への強い吸着と分離が可能となったのです。

現在電池の利用サイクルは7000回を達成しており、改良によって2万回から5万回にできると、研究者たちは見積もっています。電極を作るためのコストは一平方メートル当たり、数十ドル程度と安く作ることができ、スケールアップした生産にも対応できます。エネルギー効率もよく、二酸化炭素を1トン集めるために必要なエネルギーは1ギガジュールです。

地球温暖化対策の主役となりうる技術が出てきました。こういった技術が普及し、広く使われるようになることで、問題意識が高まりつつある難問を、経済発展とのバランスを取りながら解決できるようになるのではないでしょうか。

参考記事:TechXplore

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