ソドムを滅ぼした火の痕跡?死海北部に高温で結晶化した鉱物などが見つかる

サイエンスニュース

3,700年前、空から降り注いだ高温の爆風が、死海北部近辺の複数の都市と農地を一瞬で破壊したという、暫定的な証拠が見つかりました。聖書に出てくる、神によって滅ぼされた都市、「ソドム」と「ゴモラ」が、あったのではないかと考えられている地域です。

放射性炭素年代測定と、高温で一瞬のうちに結晶化した鉱物の出土から、「隕石による巨大な空中爆発によって、ミドル・ゴーと呼ばれるヨルダン地方の広さ25kmにおよぶ平原に存在した文明が一瞬で滅んだことがわかった」と、トリニティ・サウスウェスト大学の考古学者フィリップ・シルバ氏は述べています。この発見は、米国オリエント学会の年会で発表されました。

Photo credit: mark6mauno on VisualHunt / CC BY-SA

ミドル・ゴーの5箇所の大きな遺跡で行われた発掘では、すべての場所が少なくとも2,500年の間、栄えていたことがわかりました。しかし、これらの都市は、青銅器時代の終わりに突如として一斉に崩壊していたのです。追加の120箇所にのぼる、より小さな居住地の土地の調査を行ったところ、同様にこれらの地域も高温の熱風にさらされて崩壊したことが示されました。これらの土地には、当時、40,000から65,000人もの居住者がいたと推定されます。

もっとわかりやすい証拠は、シルビア氏を含む研究者たちが13年前から継続して発掘しているトルエルハマムで見つかっています。すべての建物を形成していた泥レンガの壁が、およそ3,700年前に、石で作られた基礎だけを残して、突如崩壊したことが放射性炭素年代測定でわかったのです。

また、同時代の多くの陶器の破片の外層には、ガラス状に溶けた跡が確認されています。このガラス内部にはジルコンの結晶が確認でき、この結晶は、太陽表面程度の極めて高い温度になった後、1秒以内に形成されたと考えられます。

さらには、激しい風が、鉱物の小さな粒を生み出し、トルエルハマムに降り注いだと言います。研究チームは、その小さな粒子を陶器の破片上に見つけているのです。

地球に降り注いだ隕石の大爆発としては、1908年にシベリアで大爆発が起こった、ツングースカ大爆発が有名です。2000キロ平方メートルもの広さの森が、爆風でなぎ倒されています。

今回の発見は、まだ暫定的なものですが、かつて栄えた都市が一瞬で同時に崩壊したことを示しています。隕石の爆発の可能性が高いと思われますが、高温と強い爆風であれば、他の説明も考えられるでしょう。それは、神の怒り?それともラピュタの雷?

参考記事: Science News

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