宇宙船クルードラゴンがNASAの宇宙飛行士を乗せて初フライト!【民間企業初】

クルードラゴン打ち上げ サイエンスニュース

5月31日午前4時22分(日本時間)、NASAの宇宙飛行士2人を乗せた民間宇宙船クルードラゴンがフロリダのケネディ宇宙センターから無事打ち上がりました。これは新しい有人宇宙飛行時代の夜明けとも言える歴史的出来事です。

クルードラゴンはアメリカの民間宇宙企業スペースXが開発した有人宇宙船です。

発射に使ったのは、同企業の再利用可能な商用ロケットであるファルコン9。

二段式で、打ち上げに使った1段目は地上に戻ってきて自立着陸し、再利用することができます。

打ち上げ後、切り離された1段目は、大西洋で待機していた回収船の上に見事に着地しました。

ロケットの先端に取り付けられたクルードラゴンも無事に切り離され、国際宇宙ステーション(ISS)に向かう軌道に乗り、歴史的な打ち上げは大成功となりました。

宇宙ステーションへのドッキングも成功し、宇宙飛行士を無事に届けることができました。

あとは、滞在後に地球に無事帰還させるだけです。

 

ドッキング直前

ドッキング直前のクルードラゴン Credit: SpaceX

乗り組んだ宇宙飛行士は、ロバート・ベンケンとダグ・ハーレーの両ベテランです。

ISSまでの飛行中に、マニュアルでの操作を行ってテストし、部無事に成功しました。

クルードラゴンの飛行はすべてオートでなされるため、このような機会はめったに無いということです。

今回の打ち上げが歴史的なのは、民間企業が開発し運営するロケットが初めてNASAの宇宙飛行士を乗せて宇宙へ到達したからです。

また、NASAは2011年にスペースシャトルが引退してからは、宇宙飛行士をISSに送るためにロシアのソユーズ宇宙船を使う選択肢しかありませんでした。

NASAはこの状況を打開し、更には宇宙への輸送費を削減するために、民間企業であるスペースX社やボーイング社と協力して開発を進めてきました。

今回の成功で、アメリカは再び自国から宇宙へと人を送る能力を取り戻したことになります。

また、民間による有人宇宙飛行の初めての成功を意味し、それは有人宇宙飛行が広く商用に使われる新しい時代の幕開けと呼べるものです

宇宙へ行くコストが安くなったことで、民間企業の科学者たちがISSで実験をしたり、民間人がISSへと観光で訪れたりといったことがもっと行われるようになるものと考えられます。

たとえば、現在トム・クルーズさんをクルードラゴンに乗せてISSへ旅行させ、それを映画にするといった計画もあがっています。

残念なのは、本当の一般人が旅行するにはまだ費用は高すぎるだろうということです。

しかし、商用ロケットの成功で人工衛星の打ち上げが手軽になり頻繁に行われるようになったように、宇宙に人を送ることがもっと手軽にできるようになることは間違いありません。

今回の打ち上げ成功は、今後加速する新たな宇宙時代を告げる狼煙なのです。

参考記事: TechCrunch

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