歳とともにある種の腸内細菌が少なくなり、糖尿病になりやすくなるという研究

サイエンスニュース

歳をとったマウスの腸内では、ある種の腸内細菌が少なくなり、それが原因で、インスリン抵抗性を示すようになるという研究結果が発表されました。つまり、歳をとると腸内の善玉細菌が減り、糖尿病になりやすくなるかもしれないということです。研究は、“Science Translational Medicine”で報告されています。

Commensal bacteria contribute to insulin resistance in aging by activating innate B1a cells

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人間の腸内には人の細胞よりも多くの細菌が住み着いていて、1つの生態系をつくっています。それを腸内細菌叢と言いますが、実は人の健康に大きな影響を与えていることがわかっています。

例えば、病原菌の増殖を抑えたり、免疫機能をアップさせたり、アレルギーを抑えたり、食物繊維を分解したり、必要な栄養素をつくったりします。

また、神経系との関わりも見つかっていおり、抑うつなどと関わりがあるとする研究もあります。新たな発見が多く、ホットな研究分野でもあるのです。

N. OTTMAN ET AL/FRONTIERS IN MICROBIOLOGY 2016

新たな研究では、年老いたマウスでは、腸内細菌アッカーマンシア・ムチニフィラ(Akk)の数が、若いマウスより減っていることがわかりました。この減少によって炎症がおこり、細胞がインスリンの信号を無視するようになってしまいます。「糖を吸収しろ」というインスリンからの命令が無視されることで、インスリン抵抗性として知られる、2型糖尿病の特徴が現れることになります。

研究者たちは、腸内の細菌や微生物が老化と関わっているのではないかと考えるようになってきています。しかし、これらの微生物がどのように老化のプロセスに関わっているのかははっきりしていません。

アメリカ国立老化研究所のモニカ・ボドガイと共同研究者たちは、マウスが歳をとると腸内環境にどのような変化が起きるのかを調べました。年老いたマウスには食物繊維を酪酸や酢酸塩といった短鎖脂肪酸に分解する、Akkや他の善玉細菌の減少が見られました。短鎖脂肪酸は、細菌や人の細胞が特定の機能を果たすためのシグナルを送ります。

研究者たちは、Akkの減少が酪酸の低下を引き起こすことを発見しました。酪酸の低下は、免疫細胞の機能不全のドミノ倒しを引き起こし、細胞がインスリンの信号を無視するという結果を招きます。

年寄りのマウスや、高齢のアカゲザルにエンロフロキサシンという抗生物質を投与すると、腸内のAkkの量が増加します。投与の結果、インスリンへの反応が回復することがわかりました。また、酪酸を投与することでも同様の効果が得られています。

腸内のある種の細菌を増やしたり、酪酸をとることで老化を原因とするインスリン抵抗性が改善することが、動物実験で示されました。この研究結果を、将来的に人間にも適用できる日が来るかもしれません。

腸内環境を整えることが、健康に直結することがわかってきています。老化によってその環境が悪化してしまうという今回の研究。しかし、Akkを増やしたり、酪酸を摂ることで、回復させることも可能なようです。直接関係のある話ではありませんが、友達にお腹の調子がすぐれなかった人がいて、LG21を飲み始めると、ぱったりと収まったそうです。善玉の腸内細菌を増やす方法は、ヨーグルトや豆腐、納豆といった発酵食品をとったり、細菌の餌となる食物繊維をしっかりとることです。健康な食生活を心がけましょう。

参考記事: Science News

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