地球温暖化によって気温が5℃上昇すると、60%の種類の魚が影響を受け存続が危うくなることが最新の研究でわかりました
これは、以前に考えられていたよりも、魚が気温上昇に対して弱いことを示しています。
この新たな知見は、魚の稚魚や胚の段階で受ける影響も考慮に入れることによってもたらされています。以前の研究では、成魚が受ける影響しか考えられていなかったのです。
5℃の地球温暖化というのは最悪のシナリオですが、魚の種類のうち60%が、2100年までに生息海域の海水温の上昇に対応できなくなります。
パリ協定で定められた、抑制目標である1.5℃の気温上昇でさえも、10%の種類の魚にとっては高すぎるのです。
以前は、5℃の気温上昇で影響を受けるのは5%の種類の魚であるとされていましたが、これは、成魚段階だけに限って行われた研究から言われていたことだったのです。
アルフレッドウェーゲナー研究所のハンス=オットー・ポートナー氏は、次のように述べています。
研究では、現存する科学論文から694種類の淡水魚と海水魚の高温耐性を解析しています。
今までの研究では、生育段階には注意があまり向けられていませんでしたが、今回の研究では産卵期の成魚と産卵期に無い成魚、幼生と胚といった生育段階にまで注意が向けられています。
その結果、産卵期のメスや胚は、最高温度と最低温度の差が7.2℃と8.4℃という小さな差にしか対処できないことがわかりました。普通の成魚だと27.5℃まで適応できます。
胚や産卵期のメスに大きな弱点があったことは、大きな懸念材料です。
胚や産卵期のメスが暖かくなった海で、生存が厳しくなるのは、暖かな海では海水中の酸素量が減って、これらの段階の魚が必要とする大量の酸素を供給できないからです。
酸素は暖かな水よりも冷たい水に多く溶けます。
残念なことに、海水温の上昇スピードは進化的な適応スピードを遥かに上回ると予測されます。
魚は動くことができるため、冷たい海域に逃げればいいのですが、産卵に最適な場所がいつも空いているとはかぎりません。
研究は「Science」で発表されています。
参考記事: New Scientist
コメント