雨が降った後に、庭や公園でキノコが生えてきているのに気づいたのに、次に見たときにはもうなかったという経験があるかもしれません。
キノコというのは菌類の地上に顔を出した部分です。多くの時間、菌類は菌糸と呼ばれる糸状形態で、地下や木の中に潜伏して過ごしています。菌類が繁殖するには、地上にキノコを形成しなければなりません。
キノコの中に毒を持つものがある理由は、他の植物に毒を持つものがある理由と同じです。つまり、食べられないように身を守って、繁殖できるようにするためです。キノコの中にはその正反対の戦略を持つものもあります。生息域を広めるため、動物に食べてもらって、排泄物とともに他の場所へ胞子を届けてもらいます。また、それとも完全に異なる戦略を持つものもあります。
胞子を広めるために
キノコが育つのは、丁度良い気温で十分な湿り気があるときだけです。キノコは普通、カサと柄からなります。カサの裏では、新たな菌を生み出すための、植物では種にあたる、胞子が作られます。
いろんなキノコのカサの裏を見ることがあるとすれば、その構造がすべてが同じではないことに気づくでしょう。
あるキノコは、紙を束ねたように見えるヒダを持っています。あるものはスポンジのように穴が空いています。またあるものは、歯並びのような構造をしています。これらすべての構造体において、胞子が作られています。次の世代の菌を生み出すためには、胞子が新たな繁殖地に到達する必要があり、キノコにはこの目的を果たすための様々な面白い方法があるのです。
あるキノコは、単純に胞子をカサから落として風に乗せることで新たな場所へと運んでもらいます。
あるキノコは、夜に光ることで昆虫を引き寄せます。木に潜んだ菌類の発光では非常に明るいものもあって、狐火と呼ばれることもあります。明かりに引き寄せられた昆虫は、光を調べている際に、意図せず胞子を拾ってしまいます。そして、他の場所へと移動することでそれを運ぶことになるのです。
キノコの中には地表に現れる部分がないものもあります。代わりにそのキノコは地下にとどまって、リスやネズミに食べてもらい、胞子をそれらの巣に運んでもらったり、排出物として出してもらうことで、胞子を広げることができます。こういったキノコは、トリュフと呼ばれていて、高価な食材として取引されることもあります。
機会の窓
キノコは長持ちしないため、胞子を素早く広めることが重要となります。そこで、いろんな毒が出てくることになります。
キノコはナメクジや昆虫、甲虫やシマリスやリス、鹿や人間にとってとても美味しい食べ物です。もし、動物がキノコを食べてしまえば、通常、胞子は失われます。排泄物として新しい場所へと運んでもらうために、胞子が保護されていれば別ですが。
科学者たちは、昆虫やナメクジが毒を含むキノコを食べないことを発見しています。キノコの毒は将来同じキノコを食べるのを避ける程度に、捕食者を病気にしてるだけかもしれませんが、中には致死性の毒を持つものもあります。
キノコの毒には多くの種類があります。一つは、とても美しいキノコの一つであるテングタケで、別名「destroying angels(破壊の天使)。」かわいさと危険な毒性を兼ね備えています。日本ではタマゴテングタケと呼ばれていて、余り見かけることはありません。食用のキノコと似ているため誤食されることが多く、世界での死亡例が毎年あります。
キノコの毒の中には薬として利用されるものもあります。例えば麦角菌の毒は偏頭痛を抑えるのに使われている薬です。
およそ1−2%のキノコが人間にとっての毒です。毒をもつキノコを英語ではtoadstool(ヒキガエルの椅子)と呼びます。毒キノコの割合は少ないのですが、毒キノコと食用キノコを区別するかんたんな方法はありません。なので、見つけてきたキノコを食べるのはよいアイディアとは言えません。毒キノコでないことを確かめることは難しいのです。
多くのキノコは健康によく美味しいです。食べるときは、お店で買ったものか、キノコに詳しい人から手に入れたものであることを確認してくださいね。
参考記事: The Conversation
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