美味しそうな獲物を見つけると、悪魔のスピードを持つそのクモは、張った網と一緒に自らを発射します。その加速度はチーターのおよそ100倍です。
その行動から、この小さなクモはスリングショットスパイダーと呼ばれています。最もすばやく動くクモであると、アメリカ物理学会では報告されました。
ペルーのアマゾンで見つかったスリングショットスパイダーですが、円錐状の巣を編みます。円錐の網の先端には一本の糸がついていて、クモはこの糸を巻き取ってテンションを掛けます。獲物の接近を察知すると、このテンションのかかった網を開放することで、網と自らを高速で前方へと飛ばします。「このようにしてクモは夕食にありつくのです」と、生物物理学者のシモーヌ・アレクサンダー氏は学会で述べています。
動画で見るとスリングショット(パチンコ)と呼ばれる理由がはっきりわかりますね。
携帯型の高速度カメラを使って、クモの動きを撮影することで、クモの最高速度が秒速4mであることを計測しました。このスピードは人がジョギングをするときのスピードに匹敵します。「私達がクモの標的でなかったのは幸運です」とは、アレクサンダー氏。このクモはカラカラグモ科に属していますが、速度の速さで知られているモロッコフリックフラックスパイダーといった他のクモも、スリングショットスパイダーに比べると見劣りします。フリックフラックスパイダーは危険を察知すると転がって逃げますが、そのスピードは秒速2mです。
スリングショットスパイダーの最高加速度は、1,100m毎秒毎秒です。それに比べて、チーターの加速度は13m毎秒毎秒しかありません。最速の哺乳類も尻尾を巻いて引き下がる、驚きの加速度なのです。
参考記事: Science News
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