オウムアムアに次ぐ恒星間天体を発見?双曲線軌道を持つ彗星が太陽系に接近

彗星 サイエンスニュース

オウムアムアに次ぐ、太陽系に属していない恒星間天体があらたに発見されたようです

彗星の尾やコマが確認されることから、その正体は彗星で間違いないようで、オウムアムアのように宇宙船との疑いはなさそうです。新たな恒星間天体の発見が確証されれば、太陽系外から飛び込んでくるこういった新規の天体についての理解が深まるでしょう。

太陽系外からの侵入を示す双曲線軌道の天体C/2019 Q4(ボリソフ彗星)

オウムアムアが発見されたのは、2017年10月のことです。その形と、説明できない加速から太陽系外の文明が作ったソーラーセイルだったのではないかという説も出ましたが、可能性は低そうです

今回の新天体の発見者はアマチュアの天文学者です。ハーバード大学の小惑星センター(MPC)はこの発見について公式の発表を行っています。この天体は双曲線軌道をとっており、他の恒星系から来たものである可能性を示しています

双曲線軌道は離心率が高いもので、円形の軌道とはかけ離れた形の軌道です。完全な円軌道の離心率は0で、太陽系の多くの惑星や小惑星、彗星の軌道のような楕円軌道の離心率は0から1の間となります。新たに見つかった天体は最初「gb00234」と呼ばれ、今では「彗星C/2019 Q4(ボリソフ)」と名付けられていますが、離心率は3.2と1を超えているのです

はっきりとした彗星の特徴を持つ天体

彗星 C/2019 Q4

Photo credit: sjrankin on Visual hunt / CC BY-NC

この天体が見つかったのは8月30日のことで、見つけたのはゲンナジー・ボリソフさんです。バフチサライにあるクリミア天体物理天文台からの発見でした。当時、この天体は太陽からおよそ3天文単位(AU)つまり、4億5千万キロの距離にありました。

オウムアムアは発見当初、その双極線軌道から彗星に分類されていました。しかしさらなる観察からは、彗星にあるコマが見当たらないことがわかっています。一方、C/2019 Q4にはコマと彗星の尾がはっきり見て取れることから、彗星であることは明らかです

また、小さなオウムアムアとは違って、この天体はおよそ20kmほどと推測され、とても大きな天体です。また、明るい天体でもあります。

さらに、オウムアムアが太陽に近づいて離れていくところを発見され、観察できた期間がとても短かかったため様々な疑問を残したまま見えなくなってしまったのに対して、C/2019 Q4は太陽系に近づいてきている段階で発見され、近日点に達するのは10月10日とまだ先です

観察のチャンスは1年間

小惑星センターの発表は、天文学者達によるフォローアップを呼びかけました。センターによると、予測できない減光や崩壊がなければ、少なくとも1年間は観察できるはずです

観察者には、遠くの恒星に起源を持つ可能性のある天体の特徴を特定するという、刺激的なチャンスが与えられます。彗星であることは明らかであり、コマや尾から成分の分析もできるため、太陽系の彗星との違いを比較することもできるでしょう。専門家によると、コマが明るいためきれいなスペクトルを得ることができ、同位体の比率を測れるかもしれません。この同位体の比率も、太陽系内の彗星とは異なっている可能性があるのです。

多くの謎を残して消えたオウムアムアとは異なり、この新たな来訪者は恒星間天体について多くのことを教えてくれそうです。新たな恒星間天体がこの短期間で見つかったという事実から、今まで見落とされていただけで、実際には多くの恒星間天体が誰にも知られることなく通り過ぎていた可能性も考えられます。今後、こういった天体がもっとたくさん見つかる可能性もありそうです。太陽系の外の世界を垣間見せてくれるでしょう。

参考記事: BBC

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