隕石イーター?隕石を好んで食べる古細菌を発見!

隕石を食べる古細菌 サイエンスニュース

主に極限環境で発見されることの多い、変わり者の古細菌ですが、その中に隕石を好んで食べるさらなる変わり者が見つかりました

初期地球の隕石爆撃を受けていた時期に栄えた可能性があり、また隕石に乗って宇宙に飛び出しても生きていく能力があると言えるかもしれません。

古細菌メタッロスパエラ・セドゥラは、好気好酸好熱性で独立栄養で生きることができます。つまり、他の生き物を食べなくても生きていけるのです。その際に栄養素となるのが硫化物です。この古細菌を隕石の表面で育てたところ、地球上の鉱物上よりも早く増殖することがわかりました。研究は、「Scientific Reports」で発表されています。

隕石の元素を生物界へ

原始の地球には、生物が繁栄するために欠かせない元素が不足していました。それを供給したのが、大量の隕石です。隕石には貴重なリンや複雑な有機化合物が含まれていることがわかっています。研究者たちは、これらの隕石から生物界に元素を取り込むように進化した生物がいるはずだと考えました。

岩のような無機物をエネルギー源にする生物のことを「化学合成無機栄養生物」と呼びます。細菌の中には、隕石に含まれる鉄分を酸化して栄養にするものがすでに知られているのですが、あくまでも補助的な栄養源としての利用に留まっていました。

偏食な古細菌

隕石を主食にする生物を見つけるため、高温や酸性条件に適応した生物に目を向けました。そういった生物は、火星の土壌内の条件でも生き延びることができます。これらの生物の中から、研究者たちはメタッロスパエラ・セドゥラに注目しました。もともと食性の好みが独特であることがわかっていたからです。

餌となる隕石として選ばれたのが、Northwest Africa 1172(NWA1172)と呼ばれるものです。通常の岩石質の隕石で、2000年に掘り出された120kgの鉱物の塊です。複数の金属を含み、菌が繁殖できる空洞のある多孔質の隕石です。

主食は隕石

実験では、滅菌された隕石の石版上に古細菌が植え付けられました。そして顕微鏡を使って詳しく観察すると同時に、古細菌が栄養を摂取した際排出する金属イオンも解析されました。また、同じ組成の鉱物の混合を餌として与える実験も行い、比較対象としては、黄銅鉱を餌としました。

その結果、成長速度に違いが現れ、隕石を与えた場合により早く飽和状態になることがわかりました。顕微鏡で詳しく調べてみると、その原因もわかりました。古細菌の表面には泡ができており、それによって、酵素反応を促進すると同時に、毒性を弱めているのです。

また、顕微鏡による観察結果と、排出物の解析の結果は、将来隕石や天体物上に見られるかもしれない生命の痕跡を見つけるマーカーとして利用できるでしょう

生物が隕石を餌として生きることができるという今回の発見と、宇宙の真空でも生きていける生物がすでに見つかっていることから、地球上の生命がすでに宇宙へと広がっている可能性が考えられます。人間が宇宙へと進出する前に、小さな宇宙飛行士たちが新天地へと旅立っているのかもしれないのです。

一つ残念なのは、古細菌は細菌よりも真核生物に近く、宇宙から来た古細菌が地球生命の起源とは言えないことです。うーん残念!

参考記事: Science Alert

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