ネス湖にネッシーがいない4つの科学的理由

わかる!科学

スコットランドのネス湖には、ネッシーと呼ばれる未確認の怪物が出現するとうわさされていて、解明されていない謎の一つとされています。しかし、科学的に言えば、恐竜の生き残りがなんの痕跡も残さず、潜み続けることは不可能なのです。

人間が持っている驚くべき素晴らしい能力の一つが、わたしたちの想像力です。むしろ、想像力を持つことが私たちを人間にしているとも言えます。

わたしたちの先進的な文明を築き上げているすべての発明品である、車、飛行機、テレビ、コンピューターや何百万ものアイテムは、誰かの想像力によって生み出されました。

同時に、人間の心はいろんな種類の現実にはないものを想像しています。例えば、グレムリン、レプリコーン、妖精、トロル、人魚、ゾンビ、吸血鬼などです。動物にも想像上のものがあり、例えば、竜、一角獣、狼男、海竜、ケンタウロスなどです。

何百年、年千年も、世代から世代へと語り継がれていく中で、こういった神話上の生き物は伝説になっています。現在では、映画やテレビ、本がそういった物語を何百万あるいは何十億もの人々へと広めています。

人類学の研究者たちは、生涯を通して人々の行動や生物学、文化などを研究しています。動物や人間の進化を、空想ではなく、現実のものとして研究しているのです。

そして、そういった空想上の生き物が人々を魅了する理由を理解しています。それらは好奇心をそそり、魔術的で、時には驚嘆するものだからです。しかし、それらには一つの共通点があります。それらは想像力に働きかけます。人々はそれらが存在してほしいと願うのです。

ネス湖の伝説

ネス湖

UnsplashRamon Vloonが撮影した写真

伝説の一つは、英国の北スコットランドにある、冷たくて薄暗い幻想的な淡水湖であるネス湖からのものです。ネス湖は地元ではロックネスと言い、「ロック」はスコットランド語で「湖」という意味です。

ネス湖はとても大きく、長さはおよそ37㎞あり、幅は1.6㎞、とても深くて水深は最も深いところで240mです。ネス湖の伝説は、およそ1500年前にまでさかのぼり、アイルランドの僧侶である聖コルンバがネス湖に流れ込む川で大きな生き物と遭遇しています。彼が十字を切るとその生き物は逃げていったそうです。

近年では、1000人以上の人々が、地元で「ネッシー」と数十年前から呼ばれている生き物を見たと主張しています。その描写は人によって異なっていて、ある人はトカゲに似ていたと言い、ある人は鯨、またある人はアザラシだと言っています。

典型的なのが、目撃された際の視界が悪かったということです。多くの場合、目撃者はネス湖の伝説に親しみのある人たちでした。

今のところ、普通ではない有史以前の生物がこの湖にいたという、物証は見つかっていません。よい物証といえるものは、その生物を捕まえたとか、鮮明な写真や、生物学者がその生物を調査する機会が得られたといった遭遇です。

ネッシーはプレシオサウルスか?

恐竜

UnsplashNate DeWaeleが撮影した写真

長年にわたって、人をだましたり、怪物の存在を「証明」するための偽の証拠をでっちあげる人たちもいました。それらは、足跡や写真、偽の浮遊物といったものです。

その中でも一番有名なのは、1934年の写真で、長い首と小さな頭を持った生き物が写っていました。

写真に写ったものは、プレシオサウルスにそっくりでした。これは、ネッシーの目撃証言にも似た、大昔に絶滅した首の長い恐竜です。

この偽の写真は、実際には荒っぽいつくりのプレシオサウルスの模型をおもちゃの潜水艦に乗せて浮き上がらせたものでした。

しかし、多くの人が、この写真を本物だと信じていましたし、いまだに信じている人もいます。

ネッシーがいない4つの理由

歩くミイラや吠える狼男が想像上の生き物であるのと同様に、ネス湖の怪物も想像上のものであるという理由が4つあります。一つ目は、大型の空気を吸う動物は、頻繁に水面に浮上しなければなりません。これが意味するところは、もっと多くの目撃者がいなければおかしいということです。

二つ目は、多くの人々がネッシーを捜索して、スキューバダイビングやソナーを使った探索をしているのにすべてが失敗していることです。2019年には湖から集められたDNAサンプルの研究が行われましたが、恐竜や大型の爬虫類の存在を示す結果は得られませんでした。

三つめは、ネス湖の水域が存在したのがほんの1万年前からであり、地球で最後の氷河期が終わってからであるということです。しかし、恐竜が絶滅したのは6500万年前です。なので、有史以前の恐竜がこの湖に生息していたことはないのです。

最後であり、おそらく最も致命的な理由は、ネス湖の怪物が存在して長い間生きながらえるには、生殖して個体を維持するための集団が必須であるということです。生物は一体だけだと、その寿命までしか生きられず、伝説が示唆するように数百年も生き延びるということはないのです。

答えを見つけるのが科学

科学者はそれが植物であれ惑星であれ、何かが存在するということを普通示すことができます。湖に怪物がいるというようなことが、ありえないということを証明するのはとても難しいのです。

そして、多くの人たちがネス湖の怪物に興味を持つということは、理解可能なことです。空想を信じることや神話を生み出すことは、人類の思考法の一部であるようです。

しかし、論理や実験、調査を行うことで、科学者たちは世界の不思議を探検し答えを見つけることができます。

そして、ネス湖の怪物が想像上の生き物でしかないということを示すのに十分以上の科学的証拠はそろっているのです。

参考記事: The Conversation

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