動物園に行くと必ずと言っていいほど目にする、スマートな赤い鳥、フラミンゴ。目にする機会が多いのはその優れた環境適応力にあり、とてもタフで柔軟な鳥なんです。どれくらいタフかというと、熱湯を飲んでも平気であり、塩分濃度の高い水域でも平気で生活できる一方、氷点下の湖でも平気で寝ていられるほどです。この、もしかして最強かもしれない、真っ赤な美しい鳥の3つの秘密について、ご紹介いたします。
真っ赤な体の秘密はエサにある
フラミンゴは生まれた時の羽の色は地味な灰色です。それが育っていくうちに真っ赤になっていきます。しかし、その赤みには差があるのに気づきましたか?その理由は、フラミンゴ自身は赤い色素を作る能力がないために、エサに含まれる赤い色素を利用するので、個体によってばらつきが出るためです。地域に存在する色素を持つ微生物の数などによって色みに差が出るのです。
フラミンゴはろ過摂食と呼ばれる食性を持っています。水中や泥水に含まれる多くの微生物を、特殊なクチバシや舌の構造によってろ過して食べているのです。藻類や甲殻類、エビや珪藻などの微生物の多くがカロチノイドの赤い色素を持っています。こういったエサから取り込んだ色素を利用して自らの体を赤く着色しているのです。なので、動物園などで色素を含まないエサで育てるとフラミンゴは真っ白になります。しかし、赤くないフラミンゴはモテなくなるようで、かわいそうな一生を送ってしまうことになるのです。
最強の環境適応力の秘密は特別な器官をもってるから
フラミンゴは様々な環境で生き延びることができる、強靭さと柔軟性を持っています。その驚くべき能力の一つが、とても飲むことのできなそうな熱湯を飲んでも平然としていることです。フラミンゴはその食性から水辺を生息域としています。水辺と言っても様々ですが、フラミンゴは熱いお湯の湧く地獄のような温泉から、氷点下の凍った湖、海水より塩分濃度の高い塩湖にまで生息域があります。
最初にフラミンゴが熱湯を飲んでいるのが発見されたのは、1950年代のことで、東アフリカの大地溝帯にある温泉湖でのことでした。温泉の温度は60℃にもなるにもかかわらず、フラミンゴたちはそこで平気そうに熱湯を飲んでいたのです。
では、どうしてフラミンゴたちは熱湯を飲んでも平気なのでしょうか?それはフラミンゴが持つ特別な塩類腺と呼ばれる器官をもつからだと言われています。塩類線は液体中から塩分だけを取り除くことのできる器官で、海水を飲んだりする生物で発達しています。塩類線から血液中の余分な塩分を放出することで、脱水を防ぐことができ、その際同時に体温を下げる効果もあるので、熱湯を飲んでも体温を低く抑えることができ、熱によるダメージを抑えることができるのです。
なんで片足で立ってるの?
フラミンゴと言えば、片足で立って寝ている姿が印象的です。なんで片足で立っているのでしょうか?実は、そのはっきりした理由はわかっていないのです。現時点で科学者たちが考えている仮説は3つあります。
一つは、一本足で立つことで体温が逃げるのを抑えているというものです。フラミンゴは気温の変化が激しい場所に生息していることが多いです。一本足で立ってもう片方の足を体内に折り込むことで、寒い場所でも熱が逃げていくのを抑えることができ、体温を保つことができると考えられます。
もう一つの仮説は、一本足で立つことで足の疲労を抑えているというものです。フラミンゴはエサを取る際に何時間もの間立ちっぱなしになります。一本足で立つことによって、片方の足を休めることができると考えられます。
最後の仮説は、片足で立つことで捕食者から見つかりにくくなるというものです。一本足で立つと、フラミンゴはより小さくなって見えるため、捕食者が発見するのは難しくなります。
このように仮説は立てられていますが、実際のところはなぜ一本足で立っているのかは謎です。おそらくはこれらの要因が複数関係しているのではないでしょうか?
フラミンゴの語源はスペイン語の「フラメンコ」からきており、「火」を意味しています。名前通り赤くて熱に強く、寒さに耐える最強の生物のようですが、近年は生息域が減ってきており、個体数の減少が懸念される種もあります。そのため、保護のための努力もされているのが現状です。色鮮やかでなぜか一本足で立つおちゃめなフラミンゴを後世に残すためにも、地球環境を守っていきたいですね。
Writer: ヨシヤ
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