金を採掘する菌!真菌が金を集めて体にまとうことを発見

金粒子を持つ真菌 サイエンスニュース

真菌が試金石となる日が来たのかも?

世界中に分布しているピンクでふわふわの真菌(カビの仲間)が、文字通りの金採掘者であり、糸のような器官に沿って集めた金の粒をまとわせていることが発見されました。さらに、金をまとった真菌は、まとっていない真菌よりもよく育つこともわかっています。発見は、「Nature Communications」で発表されています。

この金を集める真菌はフザリウム・オキシスポルムという種類のもので、本来ならば野菜などに病気をもたらす困りものです。

オーストラリアの科学者たちは、走査型電子顕微鏡を使って、オーストラリアの西部で集められたフザリウム・オキシスポルムの拡大画像を得ました。その中に、真菌の菌糸に小さな金の粒が散りばめられている様子がおさめられていたのです。真菌は地中の鉱石との化学反応を通じて金を集めていると考えられています。酸化作用によって金を溶かし、他の化学物質を使って溶けた金を菌糸の周りで固形化します。

しかし、真菌がどのようにして金を識別しているのかはわかっていません。また、金で装飾されることが菌にとって有益であることはわかっていますが、そこにどのようなメカニズムがあるのかもわかっていません。

真菌は真核生物の中では最も古い形態の生物です。最近カナダの北西部で見つかった真菌は10億年前のものでした。多くの真菌は、有機物質を分解したり再利用しており、あるものは金属とも相互作用していることが知られています。アルミニウムや鉄、マンガン、カルシウムなどがその代表です。

金塊

Photo on Visualhunt

しかし、金は化学的な反応性が低いことで知られています。なので、この真菌が金を溶かしているのは驚きです。金は酸に解けません。ただ、硝酸と塩酸を混ぜた王水には解けます。他にも金を溶かす方法はありますが、この真菌はアミノ酸などが介在する酸化反応によって金を溶かしているようです。

今回の真菌の性質の発見によって、金が地表へと浮かび上がってくる仕組みがわかったかもしれません。また、地下にある金を見つけるための手がかりとして利用できる可能性があります。

これは、世界第2位の産出量を持つ、オーストラリアの金産業にとって福音となるかもしれません。ほかにも、蟻塚やユーカリにも金が含まれることが知られており、金の埋蔵場所を特定するヒントとしてサンプルが調べられています。

埋蔵された金を探すために、地面にドリルで穴をあけるよりも、真菌やユーカリ、蟻塚を使う方がコストもかからず環境にも優しいでしょう。

真菌の採掘者、フザリウム・オキシスポルム。うまく利用すれば一攫千金も夢じゃないかも?

参考記事: Live Science

コメント