人間の目は発光するようにはできていませんが、放射線治療中には目を閉じていても光が見える現象が患者たちの口から報告されています。それが本物の光だったことが特殊なカメラによる撮影で初めて確認されました

それにより、長らく謎とされてきた光の正体が解明されたのです。放射線治療中に目を閉じていても見える光の正体は、目の内部で起こった知覚可能な強さの本物の光でした。その光はチェレンコフ放射、あるいはチェレンコフ光として知られているもので、水面下で核反応が起こっているときに見られる青い光と同じものです。

モデルによると、放射線のビームが目の硝子体と呼ばれる透明なゲル状組織を通過するときに光が生まれることが示されていて、その直接の証拠が見つかったことになります。この発見により、将来の放射線治療の体験を改善でき、患者たちの不安を和らげることができるでしょう。

患者たちの見た光が、チェレンコフ光ではないかという仮説はすでに科学者達によって提唱されていました。この仮説を検証するために、ダートマス大学の研究チームは、CDoseという特殊なカメラを使った画像システムを使って、撮影をおこないました。

CDoseは、放射線治療を行っている間の光の放射を捕らえられるように設計されており、動物実験と人間の両方で、目から放射された光を初めて見ることができたのです。これらの光の検出は通常ではとてもむずかしいのです。

International Journal of Radiation Oncology より

撮影された被験者は、その時実際に光が見えたと報告しています。また、豚の眼球を使った追試では光の組成が解析され、チェレンコフ光と一致することが確認されています。目の中で起こったチェレンコフ光が知覚可能な強さであるかどうかは、議論の対象とされていましたが、今回の発見で終止符が打たれたことになるでしょう。

研究は、「International Journal of Radiation Oncology」で発表されています。

空想の世界では、目からビームを出すスーパーヒーローや悪役はよく見られます。それが実際の人間の目でも起こり得るというのは面白いですね。ただ、チェレンコフ光自体は無害なのですが、目に放射線があたっているという状態は良くないと思われるので、治療中に光が見えるようなことがないように治療をすすめてもらいたいものです。

参考記事: Science Alert