海が青く見えるのは空の色が映っているからなの?

わかる!科学

空が青いのはレイリー散乱で、青い光が空中にばらまかれるからなのですが、海はなぜ青いのでしょうか?空の色が映っていれば青くなりそうですけど、本当にそうなんでしょうか?

その答えは、1つではありません。原因は、海が青いのは水による光の吸収、海水中に漂う粒子による散乱、そして、空の色の反射です。

空の青さが映っているだけだとすれば、水中で周りを見渡した時の青さを説明出来ないのです。

まずは色を生み出している光の性質を簡単に見ていきましょう。

光の性質

私達が日中見ている日光の白い光は、小さな光の粒子である光子で出来ています。光子は原子よりも小さいため一つの光子を見分けることは出来ませんが、確かにそこにあります。

この粒子にはとても奇妙な性質があります。あるときは粒子のように振る舞い、あるときは波のように振る舞うという二重性を持っているのです。

白い光は、様々な波長を持つ光子が寄り集まって出来ています。ある光子は波長が長く、あるものは波長が短いのです。長い波長のものは赤みが増し、短い波長のものは青みが増します。それぞれ分離して広げると、虹に含まれるすべての色が表現できます。

Credit: Wikimedia Commons, CC BY

日光に含まれる光子は地球上にある物質と様々に反応します。その反応は、物質の性質と光子の波長によって変わってくるのです。触れたものによって吸収されたり散乱したりします。

光が散乱することでその物体に色が着きます。例えば、緑の葉っぱは緑色の波長の光を散乱します。そのため、葉っぱから放出される光は、私達の目には緑色に見えるのです。他の色の光は葉の葉緑体によって吸収されて、光合成に利用されます。

コップの水は何色?

光の性質がわかったところで、疑問に答えていきましょう。

何も溶け込んでおらず、不純物も含まない「純水」は、青い光よりも赤い光を吸収することが実験でわかっています。青い光が吸収されないため青く見えます。

では、どれくらいの赤い光が吸収されるのでしょうか?それは、光が侵入する水の量によります。

コップの水は青くは見えず透明です。不思議ですね。それは、水の量が少ないために、十分な量の赤い光を吸収出来ないからです。十分にこの赤い光の吸収効果を、目で確かめられるには、ブールぐらいの大きさのコップが必要となります。それくらいの量水があれば、赤い光が十分に吸収されるため、残った青色の光で水が青く見えるのです。

Photo on Visual hunt

世界中の海の水が入るコップを想像してみましょう。とても巨大で水の量も膨大です。すると、吸収される赤い光も多くなるため、より一層青く見えることでしょう。

海のエメラルドグリーン

この場合、水は純水ではなく海水です。海水となると話はまた違ってきます。まず、海水には塩が溶け込んでおり、多くの微生物の死骸なども漂っています。水中のこういった粒子は、ある波長の光を反射するため、海水は完全な青にならないのです。そのため海水は通常、緑がかった青になります。

空が青くて、水面で反射することもまた、海を青くする原因の1つとなっています。

最後に、太陽の位置も海の色に影響を及ぼします。真昼の太陽の元では、海は青く見えますが、日が傾くと、海の色も暗くなり、最後にはほとんど黒になります。

絵を描いて色を着ける時、水の部分は青く塗ってしまいますが、それは経験的に水が青いことを知っているからです。でも、その青さが生まれるためには沢山の量の水が必要となるんですね。普段目にするコップの水は透明なんです。水が青いと思っているのは、海やプールの水の青さがあまりに美しいので心に強く印象を残すからかもしれませんね。

参考記事: The Conversation

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