助け合うクモ!社会性を持った新種のクモを発見

サイエンスニュース

ロイヤル・ホロウェイとロンドン大学の研究者が、インドネシアで新種のクモを発見しました。Zoological Journal of the Linnean Society」で発表された論文でレナ・グリンステッド博士と共同研究者たちが発見したクモは、チクニア・ビルデ(Chikunia bilde)という名前がつけられました。

この新種のクモにはチクニア・ニグラと呼ばれる近縁種があり、他の好戦的で共食いさえするのが普通な多くのクモとは異なり、この2つのチクニアは大きなコロニーを作って調和の中で共存する生き方を好みます

このように、非常に近い近縁種がコロニーで集団を作ることが記録されたのは初めてです。その生活様式は興味深いもので、その理由は種が入り混じって集団を作ることが珍しい上、両方のチクニアは自分の子供のクモに餌を与えるだけでなく、近所の子供にも与えることがあるからです。

その調和したライフスタイルと人への危害もないという性質から、害虫駆除に非常に適しているようです。

Photo on Visualhunt

このクモたちは、農作物に被害をもたらすコナジラミや病気を媒介する蚊を餌として好み、固体密度が高くなったときにも攻撃したり共食いすることがないことから、農作物にも人にも益をもたらし、農薬や殺虫剤の使用量を減らすことができるでしょう。

レナ博士
私がこの新種のクモを見つけたのは偶然で、バリに近縁種を調査していたときのことです。驚いたことに、この新種はチクニア・ニグラのコロニーに丸見え状態で隠れていたのです
ちっぽけなクモで、私が今まで見たものとは異なり、普通に複数種の混成コロニーに集まっていました。この2種はとても似ているため、見分けるのはほぼ不可能です。
彼らは密接に暮らすことがどちらの種にとっても魅力的であることを知っており、にもかかわらず遺伝系統が別れたまま保たれています。多くのクモは他の種類のクモに対して非常に攻撃的で、単独で生きており、このように互いに近い距離で一緒に生活するなんて夢にも思わないでしょう。
新種のクモは珍しくお互いや近縁種に対して寛容で、人の活動に対してもまた、珍しく寛容です。実際、クモたちは庭や農業地帯、ゴミ捨て場や牧場に好んで現れますが、そこには多くのハエや蚊が集まります。
もっとクモたちを研究する必要がありますが、クモの新種を発見したことはとてもエキサイティングで、他の種類のクモと共生する独特な習性をもつことや、生物学的に害虫をコントロールできる大きな可能性など興味はつきません。

この小さなクモは黒や茶色、オレンジから黄色まで色とりどりであり、ヒメグモ科に属しています。

インドネシアの寛容で牧歌的なクモたち。種が異なっても交じることがないことにも何か秘密がありそうです。自然界で生き抜くには暴力的である必要はなく、種の枠を超えて協力することが重要であることを示してくれています。この不思議なクモの生態がもっと明らかになるといいですね。

参考記事: Phys.Org

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