都会育ちの方が田舎者よりもモテます。クールで意識が高くて身なりもスッキリしています。というのは偏った見方で、田舎にもかっこいい人がいるのは確かですし、都会育ちでもモテない人はいます。しかし、カエルの世界はもっとシビアなようです。都会のカエルは鳴き声で森のカエルの3倍のメスを引きつけることがわかりました。研究はアムステルダム自由大学で行われ、“Nature Ecology & Evolution”で発表されています。
都市に住むオスガエルは、森に住む親類よりも複雑な鳴き声でメスをひきつけます。そしてその鳴き声はメスにとってずっと魅力的です。都会の環境へと移った動物は、自然選択とはまた別の淘汰圧を受けることで、異なった行動を進化させるスピードが上がることがわかっています。
先行研究では、騒々しい都会で、鳥、カエル、バッタの鳴き声が変化することがわかっていますが、その変化によってメスを惹きつけ、捕食者や寄生虫を避けるという動物の要求を満たしているのかどうかは、詳しくはわかっていませんでした。
ツンガラガエル(tungara frog)は、カリブ海を囲む国々に生息しているカエルですが、オスは夜になると水たまりに集まってメスを呼び寄せようと鳴きます。鳴き声の主要なパートでは、「ヒューヒュー」とまるでSFのレーザービームのような音“whine”をたてますが、そこに、まるでアヒルの鳴き声のような“chucks”を混ぜてアレンジするものもいます。しかし、アレンジを加えて凝った音を出すと、捕食者のコウモリや寄生虫を呼び寄せる危険性が高まります。
研究者たちは、パナマの都市と森でこのカエルの鳴き声を録音して詳しく聞きました。都会のカエルは、森のカエルよりも鳴く回数も多く、鳴き方もより多くて大きな“chucks”を加えた凝ったものでした。
この複雑な鳴き声は、メスにとっては抗いがたいもののようです。研究者たちは2つのスピーカーを使って、都会のオスの鳴き声と、森のオスの鳴き声を同時に鳴らしました。すると、4分の3のメスが、都会のオスの鳴き声のするスピーカーに集まってきたのです。
なぜ森とは異なった鳴き声が都会で進化したのかを探るために、録音した鳴き声を都会と森の異なった環境で鳴らしてみました。すると都会では、同じ鳴き声が引き寄せるメスも、近寄ってくるコウモリや寄生虫も少なくなっていました。つまり、都会ではメスを惹きつけるための圧力が強く、捕食者や寄生虫を避けるための圧力は弱いのです。
最後に、都会のカエルを連れ出して、森へと連れ出し鳴き声が変わるかどうかを調べました。すると、都会のカエルはすぐに複雑な鳴き方を減らしました。しかし、逆に森のカエルを都会に移しても、鳴き声は変わりませんでした。
つまり、都会のカエルのほうが森のカエルよりも適応能力が高かったのです。これは、都会で相手を見つけるにはより複雑な鳴き声を加える柔軟さが必要になるので、そういったオス増えたのではないかと、研究者は考えています。
森で目立つと、捕食者や寄生虫による危険が高まります。しかし、都会では危険が少ないため、オスはのびのびと凝った鳴き声を上げることができるのです。
都会はカエルにとっても、自由に振る舞える場所のようです。都会に行って自由に暮らしてモテたい!すいません心の声が出てしまいました。
参考記事: New Scientist
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