冥王星の地下に海!凍らないのはガスを含む氷の層のおかげ

冥王星 サイエンスニュース

冥王星の海の謎が解けたかも

冥王星の地下には液体の海があると考えられていますが、極寒の世界でなぜ凍らずに液体で存在できるのかは謎でした。今回わかったのは、外殻の硬い氷の層の下にガスを含んだメタンハイドレートの層があって、更に下の層が冷えるのを妨げているということです。研究は「Nature Geoscience」で発表されています。

冥王星の地下の海

地下の海

Photo by John Bakator on Unsplash

冥王星表面に、地下の水が凍って膨張する時に作られたと見られる亀裂が見つかるといった証拠から、地下に海が存在することが指摘されています。しかし、太陽系の他の地下の海を持つ、エウロパやエンケラドスといった天体とは違って、冥王星は強い重力によって引っ張られることで熱が発生しません。つまり、冥王星の海は凍っているはずなのです。

しかし、冥王星にも熱源はあります。岩石質のコアには放射性崩壊する元素が含まれているので、そこから少量ですが熱が発生するのですこの熱を内部に閉じ込める働きを、氷の外殻の下にある層が果たしていると、カリフォルニア大学の研究者フランシス・ニモは提唱しています。

地下の海を守るガスハイドレート

この特別な層は、ガスハイドレートと呼ばれる物質でできています。メタンハイドレートもガスハイドレートの仲間で、凍った水の分子の間にガス性の分子が閉じ込められることで出来ます。ガスハイドレートは見た目は氷なのですが、その中にはガスが多く含まれているため、ガスとしての性質も持ち合わせているのです。

メタンハイドレート

credit: Wikimedia

そのため、ガスハイドレートはただの氷よりも高い断熱効果を持つのです。研究者たちの計算では、この層によって海は維持され、氷の外殻が現在見られるような状態になることが確かめられています。また、冥王星の薄い大気に、メタンが少なく窒素が多いことも、メタンがガスハイドレート化してメタンハイドレートとして地下にとどまっていると考えると説明がつきます。

地下に海があるということは、生命が存在する可能性があるということでもあります。しかし、ガスハイドレートの存在は生命を否定するかもしれません。というのも、外殻の氷が極端に冷えて固くなっていることを意味するからです。外殻の氷が冷えて固くなると、生命に必要な物質が海に溶け込むのを妨げてしまうのです。

冥王星の海が存在できる理由がわかりました。海があるとなると、生命の存在が気になりますが、その可能性はあまり高くなさそうです。がっかりですが、可能性がまったくないわけでも無いでしょう。詳しく調べるためには、新しい探査機を飛ばす必要があります。生命探索という観点で言えば優先度は低くなるのですが、将来的には調べてもらいたいですね。

参考記事: New Scientist

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