地球から1000光年の距離にある連星系にブラックホールが存在することがわかりました。今まで見つかったブラックホールの中で最も地球に近いものとなります
この連星系は望遠鏡を使わなくても見ることができるほど地球の近くにあります。
見つけたのは欧州南天天文台の天文学者たちで、発見は全くの偶然でした。
HR6819と呼ばれている星系は、2つの星を持つ星系だと考えられていました。
研究者たちは、星の回転が早すぎて、赤道面に物質を撒き散らしてリングを作っている星を研究していました。
HR6819を研究したのは、星の一つがそういった種類の星だったからです。
しかしその結果、対となる普通の星が、なにもない空間を中心に40日の周期で公転していることを発見しました。
その空間には、およそ太陽の4倍の質量を持つブラックホールがあることがわかったのです。
ただ、物質を飲み込んだり弾き飛ばしたりしていない、休止したブラックホールなので全く何も見えません。
研究者は、地球の近くにはまだ見つかっていないブラックホールがたくさんあると考えています。
天の川銀河に存在する星の数から推測すると、その数はおよそ1億にもなるそうです。
ただ、現在までに見つかっているブラックホールの数は100個にもなりません。
ブラックホールの分布が天の川全体にまんべんなく存在するとすれば、地球に最も近いブラックホールは30から40光年の距離にあると予想されます。
今回発見されたブラックホールは、発見されたものの中で最も地球に近いだけでなく、初の3重星でもあり、数少ない非活動的なブラックホールでもあります。
存在が予想されるブラックホールの多くは、非活動的であると考えられるので、今回の発見はそういった見えないブラックホールを見つける良い手がかりとなるでしょう。
また、見つかったブラックホールの数が増えることで、銀河系にどれほどのブラックホールが存在するのか、より正確にわかるようになるでしょう。
ただ、今回発見されたブラックホールが地球に最も近いからと言って心配することはありません。
地球に影響を及ぼすには、遠すぎるためです。連星系の伴星さえも、まだこのブラックホールには落ちていないのです。
もし、ブラックホールを伴ったこの星が見たいなら、南半球に行ってぼうえんきょう座を見ることです。
南半球まで行けなくても、星空の広い範囲にブラックホールが潜んでいる可能性は高そうなので、そういった目で星を観察して空想にひたるのもいいかもしれませんね。
参考記事: New Scientist
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