過去の地球で生物の大量絶滅は何度も起きていますが、その中の一つの原因が超新星爆発であった可能性が示されました。
その超新星爆発の光は満月のように明るかったに違いありません。この美しい光景は、実は続いて起こる悲劇的な大量絶滅の序章だったのです。
科学誌「PNAS」で発表された、イリノイ大学の研究によると、3億5900万年前にデボン紀石炭紀境界で起きた大量絶滅の原因が、天文イベントによるものであった可能性が示されました。
研究チームが、デボン紀石炭紀境界に注目した理由は、この時期の植物の胞子の化石には、紫外線による日焼けが数百数千もの世代で見られ、長期に渡るオゾン層の消失の証拠とされているからです。
地球上で起こる、火山の噴火や地球温暖化でもオゾン層の破壊は起きますが、長期に渡る破壊が起こるかについては疑問が残ります。
その点、地球から65光年の範囲で複数の超新星爆発が起こったとすると、長期に渡るオゾン層の破壊の原因となりうるのです。
現在、太陽系の近くにあって、超新星爆発が起こりそうな星といえば、ベテルギウスですが、距離は約600光年離れているので、危険な範囲にはないといいます。
オゾン層の消失をまねく可能性のある天文現象としては、他にも小惑星の衝突や、太陽表面の爆発、ガンマ線バーストなどがありますが、これらはどれも、デボン紀に見られる長期のオゾン層の消失の原因とは考えられません。
一方、超新星爆発では、影響は何段階にも別れて地球に及びます。
まずは、即座に有害な紫外線や、X線、ガンマ線が地球に降り注ぎます。
その後、超新星爆発で放出されたデブリが太陽系をおそい、宇宙線からの長期の放射線は、超新星爆発によって強められます。
地球やそのオゾン層への影響は、10万年にも及ぶ可能性があるのです。
しかし、デボン紀石炭紀の大量絶滅は30万年もの間続いていることが、化石からわかっています。
これは、大災害が1回ではなく複数回起こったことを示唆しています。
つまり、超新星爆発は一回ではなく複数回起こった可能性があるのです。
通常、超新星爆発を起こすような巨星は、集団でクラスターを作っています。
クラスター内の星の年齢は近いため、同じようなタイミングで超新星爆発が起こるということはあり得ることなのです。
では、超新星爆発が、デボン紀の大量絶滅の原因だったとする証拠はあるのでしょうか。
これを証明するためには、絶滅が起こった地層で、プルトニウム244や、サマリウム146を見つけることです。
これらの放射性同位体は、現在の地球上で自然にできることはありません。
超新星爆発によってもたらされることでも無い限り、存在し得ないのです。
プルトニウム244やサマリウム146の調査はまだ開始されていません。
調査をすすめることで、今までに超新星爆発がどれだけ起こったかや、そのパターンもわかることになるでしょう。
地球上の生物も、地球だけで完結しているわけではなく、もっと広い宇宙で起こった現象の影響を受けているのかもしれません。
もし、一番近いベテルギウスが爆発したとしても、夜が明るくなる以外に、地球に影響はなさそうなので、そこは安心してよさそうです。
参考記事: Phys.Org
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