地球外知的生命体は地下の海に潜んでいる!とする説が発表される

サイエンスニュース

地球外に知的生命体はいるのでしょうか?宇宙開発技術の発展によって、太陽系内の惑星や衛星の姿が徐々に明らかになり、観測技術の発展で多くの太陽系外惑星が発見されていることから、地球以外の天体にも生命が存在する可能性への期待が高まっています。

地球外知的生命体が銀河系に存在する可能性を示す方程式に、ドレークの方程式というものがあります。しかし、方程式の各パラメーターには推定値を使わざるを得ないため、この方程式が示す正しい答えはわかっていせん。

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地球外生命体の存在に関しては、奇妙な矛盾があるとされています。いわゆるフェルミのパラドックスです。宇宙は広く、できてから長い年月が過ぎているので、地球以外に知的生命が進化した可能性は高いと見積もられるにもかかわらず、なぜ人類は地球外生命を発見したりコンタクトをとったりできていないのか?という疑問です。

この矛盾に対する説明として、多くの意見が出されています。「地球外生命を探すときに間違った領域しか探していない」というものや、「地球外知的生命体は、文明存続のために冬眠に入っている」というもの、そして、もっとも悩ましい「宇宙に発達した文明を持つ生命が我々しかいない」というものなどがあります。

最近、アメリカ天文学会の第49回惑星科学年会で新たな説が発表されました。発表したのはNASAの惑星科学者、アラン・スタン博士です。スタン氏の説は、「おそらく地球外知的生命は銀河に存在していますが、彼らは惑星の奥深く、地底に閉ざされた海に存在する」というものです。

太陽系の天体、冥王星や木星の衛星エウロパ、土星の衛星タイタンやエンケラドスなどには、地殻の底に液体の水が存在するとされています。そのため、銀河の他の星の惑星にも同様の海はたくさん存在すると考えられるのです。

地下の海には光は届きませんが、火山活動の一種、熱水鉱床によってエネルギーが供給されるため、生命は存続できます。実際、地球の熱水鉱床の周りには、太陽光とは独立した、生態系が出来上がっているのです。

光は届きませんが、地底には生命が進化するのに有利な点があります。地底には太陽フレアや、超新星爆発などの影響は届きません。また、毒性の高い大気を惑星が持っていたとしても、地底には影響を及ぼしません。そのため、地下の海というのは、実は生命の温床として非常に有望なのです。

そして、地底の海に知的生命が存在したとすると、フェルミのパラドックスに対して別の回答を与えることができます。まず、地底海知的生命は地表の存在に気づいていないかもしれません。そうすると、銀河というものがあって、そこに多数の星があり、他の生命がいるかも知れないという可能性に全く行き当たらないということになります。

また、もしコンタクトを取ろうと思ったとしても、地底にまで届く電磁波は、低周波の電波ぐらいしかありません。他にも問題はあります。もし、この知的生命体が宇宙に進出しようと思い、ロケットを飛ばすとした場合、そのロケットには生命維持のために多量の水を積み込まなければなりません。そうなると、ロケットを飛ばすには大量の燃料が必要となるのです。

スタン博士の説はもちろん、ただの仮説です。この仮説を証明するのは大変で、今後答えを出せる人が出てこない可能性もあります。しかし、こうして仮説を立てることで、楽しく議論をすることができます。本来学問とは楽しいものなのです。

今後の惑星探査で、地底海に生命が確認される可能性は十分あります。その時、この説が今よりもずっと説得力を持つことになるでしょう。光の届かない世界で進化した知的生命体とはどのような姿をしているのでしょうか?考えるだけで楽しくなりませんか?

参考記事: Universal Sci

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