水のない砂漠に適応するために、ラクダのコブには水が入っているっていうのは本当でしょうか。それは間違いです。
見つけた水を最大限に活かす能力をラクダはもっているのですが、それはコブとは関係ありません。
ラクダのコブに入っているもの、それは脂肪です。
食料の乏しい砂漠で生きるラクダ
砂漠では、水と食料が不足しています。
なので、ラクダは餌が十分にあるときに、できる限りの食料をとってカロリーをコブに蓄えます。
そうすることで、餌が不足する長い時期を乗り越えるのです。
コブに最大限の脂肪が蓄えられていれば、ラクダは4~5ヶ月の間、食べ物がなくても生きていられます。
コブの中身が使い果たされると、しぼんだコブは空気の抜けた風船のように垂れ下がり、食べるとまた膨らみます。
生まれたてのラクダにはコブはありませんし、哺乳時期にコブが育つこともありません。
子供のラクダが取った栄養はすべて、体の成長に回されるのです。
生まれてから4~6ヶ月後に離乳しますが、コブが育ち始めるのは10ヶ月後です。
子供でも季節のサイクルをなんとか乗り越える必要があるため、産まれてから1年以内にはコブができ、最初の乾季をやりすごします。
ラクダには2種類あります。
中国や中央アジアに生息するフタコブラクダ(Camelus bactrianus)にはコブが2つあります。
もう一つが、ヒトコブラクダ(Camelus dromedarius)で、ラクダの個体数の多くを占めており、コブの数は1つです。
コブの数と乾季での生存能力の高さには相関関係は無いようです。
背中に脂肪を蓄える理由
他の多くの動物が脂肪をお腹の周りや側面につけるのに対して、ラクダは背中にしょっています。
なぜ、背中に脂肪を蓄えるのか、二通りの説明がなされています。
一つは、ラクダのお腹には硬い皮膚があって砂に直接伏せられるようになっていることと関係しています。
お腹に脂肪がつくと、伏せるのが難しくなるのです。
もう一つの説は、ラクダが細くて背が高く、脂肪をお腹の脇ではなく背中のコブに背負うことで、太陽光に当たる面積を減らして体温が上がりにくくしているというものです。
ラクダが水の少ない砂漠で生きられる理由
ラクダのコブには水は入っていません。
では、どのようにして水の不足に適応しているのでしょうか。
まず、ラクダは一度に114リットルもの水を飲むことができます。
また、ラクダの排泄物は非常に乾いていますし、腎臓が効果的に毒物を体液から取り除くことで、体内の水分をできるだけ長く保持できるようになっています。
また、飲水以外から水分を吸収するすべも持っています。
鼻から吸い込んだ空気に含まれる水分を取り込むことができるのです。
このような能力から、水を長い間飲まなくても生きていけるのを見て、「コブに水を溜め込んでいるに違いない」という勘違いが生まれたのでしょう。
参考記事: LiveScience
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