人気サプリのグルコサミンに新たな力が発見されたかもしれません。
グルコサミンといえば関節炎の悩みのある人がサプリメントを飲むイメージがありますが、新しい研究では、グルコサミンのサプリメントを飲む習慣のある人の心血管疾患のリスクが低くなる傾向があることがわかりました。統計調査による相関関係を見つけたこの研究は、「The BMJ」で発表されています。
今回の発見は、冠状動脈性の心臓病や心臓発作のような、心血管疾患を妨げるのに、グルコサミンが有用かもしれないことを示しています。ただ、この仮説を証明するには、臨床試験などで検証する必要があるでしょう。
グルコサミンとは?
グルコサミンは、健康食品として有名なサプリメントで、骨関節炎や関節の痛みを緩和することを期待して飲まれています。関節の痛みに本当に効くのかは、議論の分かれるところですが、今回示された証拠からは、グルコサミンが冠状動脈性の病気に効果があり、死亡率を下げる可能性が示されています。ですが、確かな因果関係を示す証拠はまだ示されていません。
十分なデータ数で行われた研究
今回の研究は、テューレン大学で行われ、使用されたデータセットはイギリスのバイオバンクに登録されたものです。イギリスに住む男女、50万人分のデータがあります。解析には心血管疾患を持たない466,039人のグルコサミンを含むサプリメント使用に関するアンケートが用いられました。
それから、その後7年間の心血管疾患の追跡を死亡証明書や病院での記録を参照して行いました。研究を開始した時点で、参加者の約19.3%がグルコサミンを摂取していました。研究の結果、グルコサミンを飲んでいた人たちの、心血管疾患リスクは15%低くなっていました。冠状動脈性疾患、心臓発作、心血管疾患による死亡リスクも、9%から22%の範囲で下がっていました。
グルコサミンの摂取と冠状動脈性疾患の相関性の強さは、タバコによる害との相関関係よりも高くなっていました。
グルコサミンが心血管疾患のリスクを減らすのはなぜ?
なぜ、グルコサミンが心血管疾患のリスクを下げるのか、理由はわかりません。一つの説明として、グルコサミンが炎症に関わっている物質であるCRPを下げることがあげられます。他には、グルコサミンの摂取が低炭水化物の食事のようになり、心血管疾患になり難くしてるかもしれません。
研究に使われたサンプルの大きさは十分なのですが、観察研究であるため因果関係を明らかには出来ないという限界があります。摂取されたグルコサミンの量や期間、副作用などのデータもありません。
グルコサミンを日常的に飲んでいるということが、健康なライフスタイルを送っていることをただ示しているだけかもしれませんが、研究者たちは、そのことが研究結果に反映するとは思えないといいます。
研究者たちは結論で、「関節痛を和らげるために摂取されたグルコサミンが、思いもよらず心血管疾患のリスクの減少に影響を与えた可能性があり、それを確かめるために臨床試験が必要だ」と述べています。
関節痛を和らげる効果などがうたわれ、薬局で簡単に手に入るグルコサミンですが、思わぬ効能を持っている可能性があるようです。心臓の血管に不安があるという方は試しに飲まれるのも良いかもしれませんね。
参考記事:Medical X Press
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