遅すぎて苔が生える。ナマケモノがゆっくり動くのはなぜ?

ナマケモノ わかる!科学

ナマケモノは哺乳類では一番移動速度の遅い動物です。どうがんばっても一秒間に3cmしか動けません。捕食者に見つかったらどうやっても逃げられないでしょう。どうして、これほど遅い動物が絶滅せずに生き延びているのでしょうか。

ナマケモノは中央アメリカと南アメリカの熱帯雨林に住んでいます。本当に動きが遅いため、その毛皮には苔(緑藻類)が生えています。じつは、それによってナマケモノは緑色になることができ、森の中では周囲の緑と同化して、捕食者である夜行性の猫やオウギワシから隠れやすくなっています。

これはとても幸運なことです。というのも、ナマケモノの中には40メートル以下しか動かない日が多いものもあるからです。ナマケモノは樹上にいるよりも地面降りたときのほうが、ずっと遅くなります。あるものは、一分間にたった4メートルしか動けません。これではジャガーから逃げるには遅すぎます。

ナマケモノの動きが遅い理由は、大部分彼らの餌に関係しています。それはどういうことでしょう?

ナマケモノの指を数える

ナマケモノ

ミツユビナマケモノ Credit: Myagi

ナマケモノはどの種類もまるで同じようにしか見えないかもしれません。しかし、実際には2つの大きなグループに分けられます。指を2つ持つナマケモノと、3つ持つナマケモノです。

フタユビナマケモノは雑食性で、植物も動物も食べます。

ミツユビナマケモノは葉食性で、葉っぱや花のつぼみしか食べられません。他の多くの草食動物とは違って、茎や根っこは食べないのです。

このような食性を持つ生き物はまれで、樹上で生活する動物の中でもおよそ100種類だけが葉食性です。オーストラリアに住むとてもかわいいコアラもそのうちの一種です。

コアラとナマケモノで共通すること

コアラ

Credit: pixel2013

コアラもナマケモノに似て、木登りに適したツメを持っており、夜間に活動的になり、葉っぱだけを食べます。

世界にコアラやミツユビナマケモノのような葉食性の生き物がとてもとても少ないのには、もっともな理由があります。

葉っぱには栄養分がとても少なく、エネルギーになるものをほとんど含んでいないのです。つまり、コアラもナマケモノも、ほとんどエネルギーのない状態で生き延びる方法を見つけなければならないのです。

しかも、ナマケモノが一日に食べる量はたった8グラムということです。燃費良すぎです。

エネルギーの豊富なあなたの好きな果物や野菜の代わりに、葉っぱしか食べられなかったとしたら、あなたがどれくらいゆっくりしか動けないか、想像してみてください。

ナマケモノやコアラがエネルギー消費を抑えるため方法の一つが、休憩を多くとって、あまり動かないことです。もし、あなたがコアラを見たことがあるとすれば、コアラが休憩したり寝ていることが多いことに気づくかもしれません。一日の中で20時間は動かないという人もいます。

ナマケモノに比べると、コアラはずっと活動的ですが、短期間でエネルギーを使って終わることがほとんどです。コアラは毎日およそ190メートル移動しますが、一日に2500メートルほど動いたという記録も度々あります。

実際ミツユビナマケモノは、冬眠状態にない動物の中では最もエネルギーの消費が少ないです。しかし、もっと長い距離を移動する必要があれば、泳ぐために長い腕を使うこともできますし、その泳ぎはずっと速かったりもします。

Single Swimming Sloth Looking for Love – Planet Earth II – BBC America
ナマケモノの寿命は野生では12年、飼育環境で最高40年と言われています。同じくらいの大きさの動物に比べれば長生きですが、その燃費の良さを考えるともっと長生きしていてほしかった。

 

 

コアラとナマケモノは居住地を失いつつある

不幸なことに、森の木々が切り倒されると、ナマケモノもコアラも食べ物や伴侶を求めて、地面を伝って遠くまで移動しなければならなくなります。これは、これらの貴重な動物を、猫やジャガー、彼らを傷つける可能性のある交通量の多い道路などの危険にさらすことになります。

樹上の住み家がなくなることは、世界に残されたナマケモノの数を激減させることにつながり、特にピグミーミツユビナマケモノは、「絶滅寸前」に指定されています。つまり、絶滅を回避できるまでに残された時間はほとんどないのです。

コアラも同じような危機にあります。オーストラリアではとても多くの木々が切り倒されているため、ニューノースウェールズのコアラは、2050年にはいなくなるかもしれないと科学者たちは考えています。

ナマケモノやコアラを大事にするために、科学者たちと地域共同体は、これらの素晴らしい動物やその住処を守るために協力して働く必要があります。

そもそもの摂取カロリーが少ないために、馬力が出せないというのがゆっくりとしか動けない理由のようですね。毛の具合が絶妙なうえ、苔が生えて緑色のために、ぶら下がったら着生植物にしか見えないので、なかなか捕食されないのでしょう。愛嬌があって手もかからないことからペットで飼われることもあるようですが、森林破壊によって絶滅に近づいているようです。ナマケモノが生きていける世界のほうが幸せですよね。自然界でも人間界でも。

参考記事: The Conversation

コメント