科学者たちは未来について極めて正確な予測ができることもあります。しかし、今から500年後の地球がどうなっているのかを予測するのは難しい仕事です。というのも、関わってくる要因が多くあるからです。1492年のコロンブスが今のアメリカを予想しようとするようなものだと想像してみてください。
私達にわかるのは、地球を変化させる主要な過程が2つあるということです。一つは地球という惑星の自転や太陽の周りを公転する自然な周期を含むものです。もう一つは、生物によってもたらされるもの、特に人間によって引き起こされるものです。
地球はそれ自体が動いている
地球は絶えず変化しています。
グラグラゆれたり、軸の傾きが変化したり、太陽を回る軌道さえも太陽へ近づいたり遠ざかったり変化します。こういった変化は何万年もかけて起こるもので、氷河期の原因となった変化です。
地球科学の言葉でいうと、500年というのは長い期間ではありません。
人類が地球を変化させている
地球に大きな影響を与える2つ目の要因は生き物です。地球上の生命による影響というのは予測がもっと難しいのです。ある生態系の一部の破壊が、多くの他のものの変調の引き金となることも有りえます。
特に、人間は多くの方面で地球を変化させています。
町を建造し作物を育てるために、森を切り倒して重要な野生生物の生息域を破壊しています。侵略的な外来種をそこらじゅうに移動させては、生態系を破壊しています。
また、人間は地球温暖化の原因にもなっています。化石燃料を燃やして温室効果ガスを自然が対処できる以上に大気中に排出して、気候変動の原因となっています。
通常、温室効果ガスは、温室で窓ガラスが果たしている役割と同じように、太陽からの熱を閉じ込め、ガスがなかった場合に比べると高い温度にします。なので、多すぎなければ役に立つ可能性もあります。
多すぎる二酸化炭素は、気温を上げる結果となり、夏季には危険なまでの高温を引き起こし、グリーンランドや南極大陸ではその氷を溶かすことになるでしょう。氷床が溶けると、海水面が上がり、湾岸域での洪水の原因となります。
これは、現在地球が直面していることです。こういった変化は500年後の地球にはもっと異なる変化を引き起こすかもしれません。それは、人間たちが生き方をどのように変えようと思っているのかに、多くの部分がゆだねられています。地球の温度が上がると、気候が極端になって、熱波や嵐、干ばつなども引き起こされる可能性があり、それによって、地形が変化するかもしれません。地球上のすべての生命も危険にさらされています。
過去の500年から学ぶ
過去500年を振り返って見ると、地球上で生命が生息できる生命圏と呼ばれる領域は、劇的に変化してきました。
人間の数はおよそ5億人から75億人以上にまで増えています。この期間に人間の活動によって、800種類以上の植物や動物種が絶滅してきています。人口が増えるにつれて、他の種の生息域は狭くなってきています。海水面の上昇は陸地の減少を意味し、気温の上昇は多くの生物種をもっと穏やかな場所へと移り住ませるでしょう。
地球上の変化のすべてが人間のせいというわけではありませんが、そのいくつかを悪化させているのは人間です。現代における大きな挑戦の一つは、気候変動につながる化石燃料の燃焼といった、人間が生み出す問題を止めることです。これは世界が協力し同じ目標に向けて働く必要のある、ひとつの世界の問題です。
クリストファー・コロンブスにまでさかのぼると、彼は車であふれる高速道路やスマートフォンなどを想像することはおそらくできなかったでしょう。科学技術は次の500年の間も進歩することは疑い有りません。しかし、現在、気候変動を解決するために十分早くスケールアップできた技術的解決法はありません。同じことをやり続けて、めちゃくちゃになったことを誰かが後に解決してくれると期待し続けることは、リスクを伴う高価なギャンブルでしかありません。
なので、500年後の地球はどのようなものかわかりません。しかし、もし人類が行動を変化させることに意欲的なら、活気のある森や海洋、草原や町が何百何千年存続し、そこには最も成功した居住者である人間が住んでいるかもしれません。
参考記事: The Conversation
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