NFTって何?なんでそんなに高価なの?

NFT わかる!科学

NFTというのは、デジタル化されたコンテンツの所有者が誰であるのかを証明する技術です。デジタル化されたコンテンツは、歌や画像、動画やツイートなどであり、オンラインゲームや仮想空間内の土地であることもあります。最近では、「Otherside」と呼ばれる仮想世界内の土地が、一区画およそ6000ドルで売れています。加えて、それらを買うために数千ドルもの手数料も払うほどに、人々は熱狂しています。

NFTはNon Fungible Token(非代替性トークン)を表したものです。何かが非代替性ということは、同等の価値を持つものと交換することが出来ないことを意味します。代替性を持つものの例としては、現在流通している500円玉のような硬貨が挙げられます。というのも、ある500円玉は他の500円玉と交換することができるからです。どちらの500円玉を持ったとしても、あなたは500円の価値のあるお金を持っていることになります。

しかし、絵画のようなものは非代替性です。ある特定の絵画はたった一つしか存在しません。もし、あなたが絵画を買った場合、その絵画を持ち帰って、寝室に飾ることが出来ます。その絵画はあなたのものであり、他の誰もその絵画そのものを所有しません。

何かを所有するということは、デジタルコンテンツについてはもっと複雑になります。というのも、それらは複製できるからです。たとえば、好きな画像をネット上でみつけたとします。あなたは、右クリックしてそれをパソコンに保存して、壁紙として利用することもできます。ここで、NFTが登場します。

もし、あなたがデジタル画像の作者からその画像のNFTを買うとします。すると、あなたが買ったという記録がブロックチェーンに保存されます。ブロックチェーンというのは、多くのひとのコンピューターによって維持されている巨大なデータベースであり、改変することはほとんど不可能です。取引の記録がブロックチェーンに保存されると、その記録は永遠に残ります。誰もが、あなたがそのNFTを買ったことを知ることができ、そのことによって、あなたがそのデジタル画像の唯一の所有者であることが証明されます。

高い価値

絵画

Photo by Jonny Caspari on Unsplash

デジタルコンテンツの中には、高値で買われたものもあります。例えば、2021年に、最世のツイートがおよそ300万ドルで売れました。でも、どうしてこれほどの大金をNFTに払うひとがいるのでしょうか。

まず第一に、ほとんどのNFTは安い値段であるのが実態です。私達が耳にするNFTの価格というのが、記録的に高価なものに限定されているというだけです。実体のある絵画でも同じことが言えます。私達が絵画の値段について聞くのは、ピカソのような有名な画家による絵画に何百万ドルが支払われたときであり、ほとんどの絵画がもっと安い値段で売れたときではないのです。

実体のあるものと同じで、デジタルアートやデジタルコンテンツの価値というのは、どれだけのお金を払う気があるのかにかかっていて、それには多くの要因が絡んでいます。

買った人は、そのデジタルアートがとても美しく重要なものだと考えたのかもしれず、喜んで多額のお金を払うでしょう。最初のツイートを買った人物、実業家のシーナ・エスタビ氏は、「これは単なるツイートではない。モナ・リザがそうであったように、何年も後には人々はこのツイートの本当の価値に気づくだろうと思います。」と言っています。

モナ・リザはルネッサンスの画家、レオナルド・ダ・ヴィンチによる絵画で、世界で最も有名な絵画の一つです。パリのルーブル美術館で展示されており、毎年数百万の人達がそれを見るために訪れます。

最初のツイートが唯一で歴史的であるという事実と同様、それを買うということもステータスの一つであります。世界でたった一人だけが、投稿されたツイートの中で一番最初のものを所有していると言うことができるのです。

バブル期

バブル

Photo by Mathieu Turle on Unsplash

NFTがこれほどまでに高価と考えられる他の要因は、経済学者たちが「バブル」と呼ぶもののためかもしれません。投資家が短期間後に更に価格が上がった価格で売ることを主な目的としてものを買っているときには、市場がバブルであると言うことが出来ます。こうなると価格は更に上がります。

バブルは新しい技術が現れたときに起きる傾向があります。新しい技術に天文学的な価格がついたと聞いて、あるいは、有名人が買ったと聞いて、多くの投資家がお金を携えてやってきます。彼らは新しい技術についてよく理解しないままにそれらを買いますが、それは、それらを売ることで得られるかもしれない利益に惹きつけられているだけだからです。NFTでもそれが起こっていると考えている人たちもいます。

このことは、NFTに価値がないことを表していません。そうではなく、NFTを買う人の中には利益を得ることだけを目的として買っており、画像を所有することになんの興味もない人もいるということを言っているのです。

NFTがこれほど高価である理由として挙げられるもう一つの要因は、それがメタバースに関わってくる可能性があるというものです。メタバースとは人々がアバターを分身として仮想的な土地を所有する仮想世界のことです。Othersideの仮想世界でデジタルな土地が売られたようなものです。

将来、NFTは、私達が家に実物の絵画を掛けるように、デジタル空間で展示される様になるかもしれません。あるいは、所有者だけが世界と関わるときに使える、唯一のアバターとして使われるようにもなるかもしれません。OthersideはBored Ape Yacht Clubと呼ばれる有名なコレクションを作った会社と同じ会社に所有されていることから、将来的には、メタバースを動き回るのに、コレクションの猿をアバターとして使えるようになったり、他のNFTも使えるようになるかもしれません。

NFTはバブルの様相を呈しているのかもしれません。前述の最初のツイートを買った実業家は、希望する高値でNFTを売ることが出来なかったようです。ただ、NFTによって、所有権を委譲できるということは、クリエイターにとってはその才能をマネタイズする道が広がることになります。SNS用に世界で自分しか使えない唯一のアイコンを好きなクリエイターに作ってもらうなどということができるようになります。その所有権を他の人に売ることも出来ますね。

参考記事: The Conversation

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