空気中から水を生成!ソーラーパネルでクリーンな水を得る技術

エコロジー

環境問題に取り組む企業ゼロマスウォーター社が、空気中から水を生成する太陽光パネルを開発して、世界中に設置しています。衛生的な水を利用できない地域や、上水道設備に問題のある地域で、水問題を解決する一助となるでしょう。

水資源に関する問題は深刻化している

世界的に水資源問題が浮上してきています。砂漠の乾燥した地方では慢性的に不足していますし、発展途上国では、ろくな浄水設備が整っておらず、衛生的な水を確保できないところもあり、不衛生な水で健康被害にあう人々も多くいます。また、アメリカでは給水パイプの老朽化で、飲水に健康に影響が出る量の鉛が含まれている地域があり、問題となっています。

国連の推計では、21億人もの人たちが、家庭で安全な水を利用できておらず、深刻な健康を抱えると共に、経済的な発展も阻害されています。

空気中から水が作れる

問題が深刻化する中で、多くの投資家たちやテック企業が解決に乗り出しています。9月にビル・ゲイツやジェフ・ベゾスなどが率いる10億ドルの基金によって、空気中からソーラーパネルによってきれいな水を生み出す装置のスタートアップであるゼロマスウォーター社に資金が提供されたのです。

そのソーラーパネルはSourceとして知られていて、太陽光を使うことで空気中の水蒸気から水を集めることができます。集められた水蒸気は殺菌されて液状化され、家の蛇口につながった貯水槽へと蓄えられます。

Sourceのコストは1基2千ドルで、設置料として500ドルがかかり、1基で一日2から5リットルの水を作ります。ボトルウォーターにすると、最大10本分にあたります。

Image: Zero Mass Water

製品を売り出し始めた2015年から、ゼロマスウォーター社はレバノンの孤児院からカリフォルニアのマンションに至るまで、18の国に製品を設置してきています。注文はオンラインですることができますが、同時に宅地開発業者や地方政府、水の危機に瀕しているコミュニティーに製品を届けるNPOなどとも協力しています。

水質や安全性がわかるセンサーも開発

また、ゼロマスウォーター社は、新たに飲水の品質や安全性を確認できるセンサーを発表しました。データは日々のレポートとして統合され、ゼロマスウォーターアプリによって確認することができます。

アメリカでは水道水の安全性について、管理しているEPAでさえ把握できていません。そのため、リアルタイムで飲水の安全性を確認できることは重要です。アメリカでは、ボトルウォーターでさえ、規制がないために危険な水が販売されていたりする実態があるのです。

水の安全性の確認について、多くの人は一般的な感覚で判断しているのが現状です。しかし、それでは無味無臭の有害物質については何もわかりません。

コスト面での強みも

Image: Zero Mass Water

ボトルウォーターの値段の上昇を考慮に入れると、Sourceの利用者の支払うコストは、ボトルウォーターを買い続けている人たちよりも最終的には安くすみます。Sourceの耐用年数は20年です。また、水道に取り付ける形の浄水器よりも、安全な水を供給することもできます。というのも、浄水器では鉛やヒ素といった有害物質を取り除くことができないからです。

ゼロマスウォーター社の製品は、世界的な水資源問題を解決する一つの手段を提供しています。このパネルを使うことで世界中のどこででも、きれいな水を利用することができるのです。

参考記事: World Economic Forum

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