乾電池の仕組みを教えて!

電池 わかる!科学

電池とは化学反応によって電気を生み出すことのできる装置です。作り方や用途によって、様々な種類の化学物質が反応に使われています。

スマホや電気自動車に使われている電池は蓄電池と呼ばれる充電可能な電池で、正確には「リチウムイオン電池」と言います。生みの親である吉野彰栄誉教授がノーベル化学賞を受賞したことは記憶に新しいでしょう。しかし、リチウムイオン電池はスマホなどと一体になっていることが多く、なかなか目にすることはありません。電池を取り替える必要もないので安全のため取り出せないように隠されているのです。

よくコンビニなんかで売られていて目にすることの多い電池は、アルカリ乾電池(正式にはアルカリマンガン乾電池)です。時計や懐中電灯、リモコンなど、家の中でよく使う電化製品で使われています。細かくなりますが、英語では電池をバッテリーやセルと呼んでいてそれぞれ異なるものを指しています。2つの電極でできた最小単位である単位電池をセルと呼び、セルをつなげて能力や容量を増やしたものをバッテリーといいます。なので、アルカリ乾電池はアルカリセルと呼ぶのが正しいのです。日本では乾電池は大きさによって、単3とか単4などと区別されてますが、その「単」はセルという意味です。

電気を作る

アルカリ乾電池の金属製の容器の中には、主要な化学物質が3種類入っています。亜鉛と二酸化マンガンそして水酸化カリウムです。

一見、複雑そうですが、乾電池が電気を起こす仕組みはとても単純です。ゆっくり進行する化学反応によって、電子と呼ばれる負の電荷を持つ粒子が循環することで電流が生まれるのです。

電池の内部

Credit: The Conversation 上から、プラス極(スチール)、外容器、内容器(スチール)、二酸化マンガンと炭素、セパレーター、粉末亜鉛と水酸化カリウム、真鍮電極、プラスチックシール、マイナス極(スチール)

 

セルの電極を電球などにつないで回路にすると、亜鉛と二酸化マンガンが同時に反応し、電子を放出します。電子は電池内の金属製の電極で集められ、平らな底であるマイナス極へと流れて、電線を通って電球に達し、電球を灯します。そして、電池のポッチのある方のプラス極へと戻っていきます。

化学反応によって生み出される電圧はおよそ1.5ボルトです。機器の中には作動するのに必要な電圧が1.5ボルト以上のものもあるため、複数の電池をつないで電圧を高めます。例えば、4つの電池を直列につなぐと、得られる電圧は6ボルトになります。

多くの亜鉛や二酸化マンガンが反応して使い果たされると、電池切れとなります。こうなると、電気を生み出すことができなくなります。アルカリ乾電池内部で起こる化学反応は容易に反転させることはできません。つまり、充電してリサイクルすることができないのです

しかし、電池の中にはは再利用可能なものもあるので、間違えて捨ててしまわないように気をつけましょう。

反応を逆転させる

電気を生み出すために電池のセルやバッテリーで起こる化学反応の種類は、似通っています。しかし、反応を逆転させることのできる、異なる種類の化学反応を使った電池も存在します。そのような電池では、充電することで再び使えるようになるのです。スマホや電気自動車に使われる、リチウムイオン電池がその代表です。

アルカリ乾電池のような充電できない電池を作るよりも、充電するほうが安いので、広く使われるようになってきています。

人々が乾電池を使い捨てにすることが環境に良くないと考えるようになってきている上に、蓄電池の値段も安くなってきているため、将来、使い捨ての乾電池はどんどん減っていくでしょう。

参考記事: The Conversation

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