スピードの早い地上の動物といえば、チーターです。しかし、それはチーターが大きな生き物であることも一因となっています。それでは、体の大きさに見合ったスピードが一番速い動物は何でしょう?それによって本当の意味での生物最速がわかるはずです。スピードを1秒間に体の何倍進んだかで表せば、それがわかります。全動物界での金メダリストは何でしょう?
ヤリイカ―ジェット推進
海を猛烈なスピードで突き進むこの軟体動物は、さながら海の触手ジェットです。ヤリイカは海水を20cmの円錐状胴体の空洞に取り込んで、筋肉を収縮。海水を頭の近くにある狭い漏斗状の器官から押し出します。その水流を一方向に放出することで、反対方向へと1秒間に10体長のスピードで進むのです。
チーター―しなやかな背骨の高速ハンター
四足歩行動物で有名な斑点を持つネコ科動物チーター。そのしなやかな背骨は足の可動域を広げています。一歩の幅を最大に広げることで、3秒加速するだけで時速95kmに達することが出来ます。後ろ脚の筋肉には速筋線維が多く含まれ、時速112kmの走りを可能にしているのです。しかし、体長比で見ると、そのスピードは若干見劣りします。1秒間あたり23体長です。
ハチドリ―愛の直滑降
ハチドリの羽は、高速で8の字を描くことでホバリングを可能にしていますが、そのスピードは早すぎて残像しか見えません。体長10cmのオスのアンナハチドリの加速は、体長比のスピードだと現存するどの素早い脊椎動物の加速をも超えます。なんと、戦闘機のパイロットよりも速いのです。求愛するオスの滑降飛行速度は、秒速385体長。その動力は全て、その胸筋によります。
コペポーダ―強力な脚
水のあるところには、コペポーダ(ケンミジンコ)が静かに浮かんでいます。緊急事態になると、この魚雷の形をした1mmの甲殻類は、秒速500体長もの加速をすることが出来ます。コペポーダは2種類の脚を持っています。一つは水を掻いて泳ぐために振動しており、もう一つはジャンプするためのもっと強力な脚です。魚から逃げるために、なんと50cmものジャンプを繰り出します。
距離によるスピードでみると、地上最速はもちろんチーターで、空まで含めるとハヤブサということになります。しかし、見方を変えて体との比率でのスピードを見ると世界が変わります。小さな体に大きな力を秘めた、コペポーダが最速なのです。たった1mmの生き物が50cmもジャンプするなんてすごいですよね。
参考記事: Popular Science
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