人にコチョコチョされるとくすぐったいのに、自分で同じようにしても全くこそばゆくないのはなぜなんでしょうか?
簡単な答えは、自分をくすぐるときには、くすぐりを予期できるからです。くすぐったい理由の大きな部分を、驚きの感情が占めているのです。
くすぐったさは、他の人や何かが自分に触れていることの重要なサインです。普通、くすぐったさは2つに分類することが出来ます。一つは良いくすぐったさで、家族や友達にくすぐられたときのくすぐったさです。もう一つは悪いくすぐったさで、これは虫などが皮膚にとまったときに感じます。
どちらのくすぐったさも、それぞれ異なった方法で役に立っているのです。
悪いくすぐったさ
ヒトは何十万年もの間存続していますが、くすぐったさは生きる上で有利な形質でした。くすぐったさによって、虫やその他の這う生き物が皮に接触しているのがわかります。
なぜくすぐったいかというと、私達の皮膚には小さな毛が生えているからです。それによって、目に見えない小さな虫がとまっている危険を察知することが出来ます。
くすぐったがりの人は、虫がとまった時にそれを感じることができ、噛まれる前に追い払うことができます。毒を持った昆虫に噛まれることを避けることができるのです。
何年にも渡って、くすぐったがりの人は毒を持った虫から噛まれにくかったことでしょう。そのため、長生きしてたくさんのくすぐったがりの子供を生むことが出来たのです。
言いかえると、ヒトはくすぐったがるように進化したのです。というのもそれは、虫のような危険を察知する能力を与えてくれるからです。もし自分でくすぐることが出来た場合、虫が触ったのか、自分で自分を触ったのかを区別出来なくて困ったことになるでしょう。
つまり、自分をくすぐれないのは、虫のような危険をうまく察知するためなのです。
良いくすぐったさ
良いくすぐったさは気持ちよく、私達を笑わせてくれます。遊ぶには絶好の方法ですが、くすぐったがるのはヒトだけではありません。
チンパンジーが追いかけっこして、くすぐり合う時、息を漏らすのを知っていましたか?この息は、チンパンジーが疲れているという意味ではありません。遊びたいという意味なのです。
ラットのようなペットも、人がなでてあげた時に笑っているような鳴き声をあげます。
笑いや遊びは、動物にとっても友達を作るための良い手段なのです。もし、自分をくすぐれたら他の人にくすぐられた時にそれほど笑わなくなるかもしれません。
なので、他の人にくすぐられた時だけ笑うことには、素敵な理由があるのです。しかし、くすぐったさがどのように起こっているのかを本当に理解するには、人体の内部を調べる必要があります。
運動器系の働き
運動器系は人間を含むほとんどの動物が持っている仕組みです。それは脳と筋肉からなっており、私達が動くことを可能にしています。
動くときはいつでも、脳がどのように動くのか、その計画を筋肉に伝えます。計画を送るために、電気信号が使われ、それは全身に張り巡らされた神経という線によって伝えられるのです。
この計画は筋肉にいつどのようにして動くのかを伝えると同時に、動いた時に何が起こるのか予想させます。
私達は5つの感覚を持っています。視覚、嗅覚、味覚、触覚そして聴覚です。計画は筋肉に、あなたが動いた後、こういった感覚にどのような変化が起こるのかを予想させます。
なので、自分をくすぐる場合、あなたの脳は神経を通してプランを送ります。一つは腕を動かしてくすぐる動作をさせます。同時にあなたの他の筋肉にはくすぐりが来ることを伝えているのです。
他の人があなたをくすぐる場合、あなたの筋肉には脳からの計画が送られて来ないですから、驚きを感じてくすぐったくなるのです。
でも、自分でくすぐる場合には、脳はいつも一歩先を行っており、筋肉や感覚器に予期させて驚かないようにさせています。でも、それは良いことなのです。
参考記事: The Conversation
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