種まで食べよう!りんごを食べると医者いらずなのは細菌のおかげ?

りんご 医学

りんごには1億もの細菌が潜んでいて、食べると健康に良いことがわかりました。

また、りんごを芯まで食べてしまうりんご好きのほうが、実だけを食べる人よりも10倍もの多くの細菌を取り込んでいることもわかっています。

「一日一個のりんごは医者いらず(An apple a day keeps the doctor away.)」ということわざがあるほど、りんごは健康に良いことが伝統的に知られています。「Frontiers in Microbiology」に掲載された論文では、健康のためには有機栽培されたりんごを選んだほうが良いことも示唆されています。有機栽培されたりんごのほうが、細菌の多様性が高いため、通常栽培されているものよりも健康に良いのです

細菌と聞くと病原菌を思い浮かべてしまいますが、人間の腸内には人間の持つ細胞数よりも何倍も多くの細菌が共生していて、私達の役に立っています。有用な細菌が体内で増えることで、有害な細菌の繁殖を抑え、細菌の代謝物が私達の栄養源になり、神経系に必須の物質を合成したり、免疫系を強化したりしています。

りんごは誰もが知る果物であり、世界中でどの果物よりも多く消費されています。グラーツ工科大学の科学者たちは、店で買ってきた普通のりんごと、有機栽培されたもぎたてのりんごの比較を行いました。りんごに潜んでいる細菌を、軸、皮、実、種そしてガクの部分でそれぞれ解析したのです。

全般的には、通常のりんごも有機栽培されたりんごも、細菌の総数はほとんど同じでした。しかし、最も多い1億という数の細菌は、種に潜んでいました。芯を捨ててしまうと、細菌の数は実に潜む1千万にまで減ってしまいます。

もぎたての有機栽培りんごの場合、通常のりんごよりも40%も多くの種類の細菌が含まれており、多様性が高くなっていました。多様性の高さが、腸の健康に良い影響をもたらすことは、先行研究でわかっています。

下痢や腸の病気の原因となる、赤痢菌属に属する既知の病原体は、通常栽培のりんごのサンプルの多くで見つかりましたが、有機栽培のものでは見つかりませんでした。一方ラクトバチルスのような有用な善玉菌は逆に有機栽培のものだけで見つかっています

最後に、いちごの味の成分を熟成させる手助けをする細菌である、メチロバクテリウムは有機栽培のりんごで有意に多く見つかっており、特に、皮と実の中で見つかっています。これは、有機栽培のりんごの味を良くする原因となっているかもしれません。

果物を食べるときに、同時に細菌を摂取しているなんて考えてもいませんでした。しかし、実際には知らないうちに多くの細菌を食べることで、腸内細菌の多様性を高めていたのです。健康のために果物を食べている人は、有機栽培のものをチョイスすると目的を果たせそうです。食べるときは思い切って種まで食べてしまいましょう!

参考記事: CNN

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