高い空に昇れば昇るほど空気が冷たくなるのはなぜ?

上空 わかる!科学

空に昇ればそれだけ太陽に近づくことになりますが、にもかかわらず空気がどんどん冷たくなるのはなぜでしょう?

これは誰もが不思議に思っているかもしれません。空に昇れば太陽に近づく上に、温かい空気は上に登っていくからです。なのに、高い山の山頂は凍えるほど寒いのです。

その理由を理解するために、次のように想像してみてください。地面が巨大な「ヒーター」であり、地上近くは温かいのですが、離れていくとだんだん冷たくなるのです

では、このヒーターを温めている熱源は何でしょう?それは太陽から来る光による熱です。これを熱放射といいます。熱放射は真空中を伝わり、物体に当たると熱を発します

光と熱は太陽からやってくる

太陽

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太陽の光と熱は宇宙を通って地球に到達し、大気を通過します。大気は地球をおおっている空気の衣です。しかし、大気は太陽から伝わる熱放射をあまりうまく保持できません。というのも、高度の高い場所にある空気は薄く、気体の分子が広がることでエネルギーが失われるからです(大気の圧力の低下で寒くなります)。そして、熱を生み出す放射は空気をすり抜けてしまうのです。

最終的に太陽から伝わる熱は、地面にぶつかって吸収され地面を暖めます。特に、森や海では効率よく吸収されます。他の場所、例えば雪原などでは熱放射は反射されてしまい、宇宙へと跳ね返っていき、地面に吸収されません。

昇れば昇るほど

空に高く昇れば昇るほど、私達を温めてくれているこの地面の「ヒーター」から遠ざかっていきます。高い山の頂上では、登山者が特別な防寒着などを着ていないと数分で死んでしまうほどの寒さになりえます。それは、高山の薄い空気では太陽からの熱放射を保持することが難しいからで、熱放射は空気を温めずに通過して地面にぶつかります。山頂にも地面があって熱を吸収して熱くなりますが、それよりも薄い空気の冷たさが勝っているのです

では、宇宙まで昇ってみましょう。そこには太陽からの放射が地上よりもたくさんあります。宇宙飛行士は特別な宇宙服を着てこの放射から身を守っています。しかし、宇宙には空気もありません。そのため熱を保持する媒体がもとから無いことになり、暖かく感じる温度を生み出すことがそもそもできないのです。

そのため、不幸にも宇宙服を身に着けずに宇宙に飛び出してしまった場合、太陽からの放射で焼かれるよりも先に凍死してしまうでしょう

地面に近いほうが温かいのは、太陽によって暖められた地面の暖かさとそれによって暖められた空気があるからです。空の上が寒いのは、地面から遠いことに加えて、空気が薄く圧力が低いため空気が冷まされるからです。

参考記事: The Conversation

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