太陽系外惑星の中には地球の環境よりも生命に適したものが存在するという研究が学会で発表されました
現在までに得られている系外惑星についての観測データと、NASAが開発したソフトウェアを使ったモデリングによって、惑星の気候や海における上昇流の強さをシミュレーションしたのです。その結果、地球が最も生命に適した場所というわけではなく、もっと適した惑星も存在しうることがわかりました。
バルセロナで行われたゴールドシュミット会議で公演したのはシカゴ大学のステファニー・オルソン博士です。
望遠鏡ではるか遠くの惑星に生命を見つけるには?
系外惑星の発見は、太陽系外への生命の探索を加速しています。しかし、系外惑星がはるか遠くにあるということは、探査機を送ることが不可能であることを意味しています。系外惑星によってどのような環境が広がっているのかを知るためには、科学者たちは望遠鏡のような遠くを観察できる装置で研究するしかありません。
望遠鏡は光を観測する装置です。実は光には多くの情報が詰め込まれています。どのような光源から発されたのか?光が途中でなにかにぶつからなかったか?その物質とは何か?光源の動くスピードは?などです。こういった情報から、系外惑星のいろんな性質がわかります。
望遠鏡で集められたこれらの観察データから理解を深めるには、惑星の気候や進化を精巧にモデル化することが必要になります。それによって、どの惑星に生命が存在しうるかを知ることができるのです。
生命の見つかる可能性の最も高い惑星とは?
オルソン博士は、系外惑星上の生命にとって最も最適な環境を特定するために研究を行いました。
これまで、生命が存在できる惑星として注目されていたのは、ハビタブルゾーンにある惑星たちです。ハビタブルゾーン内にある惑星では液体状の水が存在できます。しかし、そういった惑星にある海がすべて、生命に適しているというわけではありません。海の中で起こる対流のパターンによって、生命に適しているかどうかが変わってくるのです。
オルソン博士らのチームは、NASAが開発したROCKE-3Dというソフトウェアを使って、異なるタイプの系外惑星上の環境がどのようなものになるか、モデルを作りました。
チームはあらゆる可能性のある系外惑星についてモデル化をおこない、どのような種類の系外惑星が、生命を育み豊かな生物圏を維持できる最良のものなのかを決定することができました。
上昇流の強い惑星の条件は、大気の密度が高く、自転速度が緩やかで大陸が存在するものです。さらには、地球は生命に最も適しているとは言えず、もっと良い環境をおうかしている生命もいるかも知れないことも示唆されています。
観測技術の限界もあり、生命の検出には制限がありますが、見つかっていないだけで、生命は実は宇宙にありふれているのかもしれません。また、実際に地球外生命を見つける際には、生命にあふれている可能性の最も高い、好条件の惑星にターゲットを絞ったほうが見つけやすいでしょう。
最初の系外惑星が見つかったのは、1992年のことです。現在(2019-8月時点で)4000個以上の系外惑星が存在を確定できています。最も近くにある系外惑星は、プロキシマ・ケンタウリbで4.25光年にあります。液状の水が存在できるハビタブルゾーンにある系外惑星が、生命を見つける候補として上がっています。今回の研究で、生命を探すための条件が更に絞られたことになるでしょう。
参考記事: Phys.org
コメント