太陽系の他の惑星を住める場所に変えることはできるの?

わかる!科学

8つある太陽系の惑星の中で私達の地球だけが住める場所であるのにはわけがあります。生命に適した完璧な環境が整っているのです。

しかし、私達は現在、森林破壊によって地表を掘り起こしたり、二酸化炭素やメタン、他の温室効果ガスを放出して大気を変化させたりして地球を変化させています。これらの変化は、地球温暖化につながり、将来地球が生物の生存に適した場所でなくなるのではないかという心配につながっています。

おそらく、惑星を変化させるというこの能力を使えば、太陽系のどこか他の惑星を私達の生存に適した惑星に変えることができるかもしれません。この惑星を変える技術を「テラフォーミング」と呼びます。

私達の太陽系の中で、地球に一番似ている惑星は、太陽から少しだけ遠くにある火星と、少しだけ近い金星です。しかし、それでも地球とはかなり異なっています。

これらの惑星は地球と様々な点で異なっています。一つは、大気に含まれる気体の違いです。火星の大気も金星の大気もその多くは二酸化炭素で占められます。どちらの惑星の大気にも、言えるほどの酸素は含まれておらず、現時点ではそれらの惑星で、私達は呼吸ができません。

一般に、火星はテラフォーミングに最も有望な惑星だと考えられています。しかし、大気の多くが二酸化炭素であるのと同時に、火星の大気はとても薄いのです。つまり、地球上で大気が地表にのしかかっている重さほどの圧力が火星にはないのです。

火星

Photo by NASA on Unsplash

この大気による圧力が、地球上の水分を液体にとどめているため、私達はそれを飲んだり、植物が育ったりできるのです。火星上の水のほとんどすべてが氷であり、それ以外は、大気にわずかな水蒸気があるだけです。

私達が呼吸できるような大気を作り、水分を液体にとどめておける圧力にするには、火星の大気に、地球上での重さに匹敵するまでの、多くの空気(窒素と酸素の混合気体)をくみ上げる必要があるでしょう。

火星上でそのための窒素と酸素をみつけることはおそらく可能で、火星の土壌には1個の窒素と3個の酸素の原子からなる硝酸塩が十分な量見つかっています。

しかし、それには、植物が生育するのに必要な土壌の栄養分を奪ってしまうなどという問題点もあります。

火星はまた、とても寒い惑星であり、平均気温はおよそ-60℃です。

これを変えるために、火星の大気が温度を保持できるようにする必要もあるでしょう。その効果のことを温室効果といいます。これを達成する方法は、より多くの二酸化炭素とメタン(メタンも火星で見つかっています)を大気中にくみ上げることです。これにより火星は暖かくなり、氷も溶けて、地球上の気候のような水の循環が作られるでしょう。火星に地球と同じ、海や川、雨がもたらされるのです。

火星か金星か

もう一つの選択肢として、金星のテラフォーミングも考えられます。金星の重力は地球の重力に極めて近いです。理由はよくわかっていませんが、その大気は地球の大気の数百倍の重さがあります。重たい空気による圧力で、私達は押しつぶされてしまうでしょう。

金星の大気の重量を減らして地球の大気に近づけるためには、二酸化炭素といくらかの窒素を取り除く必要があります

残念なことに、そのように大規模に二酸化炭素を取り除ける方法を知っていれば、地球温暖化を抑えるために地球上でその技術を使ったほうが良いでしょう。

火星と金星は、地球とは違った自然の平衡状態に達しています。もしこれらの惑星を地球に似た惑星へと変えてしまえば、それはバランスを壊すということになります。放っておけば、変化しようとするでしょう。テラフォーミングされた火星も金星も、維持するための絶え間ない努力が必要となります。

もっと単純で簡単なのは、植物や動物や他の生物からなる全生態系を維持するだけの十分な大きさのある人工的なスペースコロニーを作ることです。そうすれば、地球に似た惑星が見つかる可能性のある他の星系へと旅することも可能となるでしょう。しかし、それができるだけの能力はまだ私達にはありません。

そのときまで、最も最良のテラフォーミングは、地球上から人類による悪影響を減らすことでしょうね。

参考記事: The Conversation

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