ハエトリグモもどうやら夢を見ているらしいという研究

ハエトリグモ 生物学

ハエトリグモが、眠っている犬や猫のように、REM睡眠時のような素早い眼球運動と、睡眠時ピクつきのような行動を起こしていることがわかりました。

今回の研究で思いつく質問は、「クモの悪夢を見たことがありますか?」といった物ではなく、「クモは、大好きなハエや人間やその他もろもろの夢を見ますか?」というものです。

米国と欧州の協力で行われた今回の研究では、何千もの種類があるハエトリグモが、睡眠時の段階の一つであるレム睡眠を経験している可能性が示唆されています。レム睡眠時、人は最も鮮明な夢を見ていますが、今回の研究ではクモが夢を見ているという結論までにはいたっていません。

ドイツとイタリアの大学、そして米国ハーバード大学の研究チームは、夜間に不活発になったクモを赤外線カメラで観察し、周期的に起こる網膜運動が四肢のピクつきあるいは四肢の丸まりで類型化される行動と同時に観察されることを発見しました。

研究者たちは、クモが人間のような睡眠パターンを経験しているというところまで話を膨らませてはいませんが、「ハエトリグモが視覚的な夢を見ている可能性があるのではないか?」という疑問が浮かばざるを得ませんでした。

「それらはちょうど、犬や猫が夢を見ていて小さなREM睡眠の段階に入ってるのに非常に似通って見えるような、様式での不随意のピクつきでした。」と、ドイツの大学の生物学者で研究の筆頭著者である、ダニエラ・レスラーさんは答えています。

また、「それが、私たちが視覚的な夢を見ているのと似たような方法で、視覚的な体験をしていることを意味するのかは、また完全に別の話です。」と別のインタビューで答えています。

彼女はまた、クモが振動による夢を見ている可能性もあることを示唆しています。

今回の研究結果は、査読のある科学誌「Proceedings of the National Academy of Science(PNAS)」で発表されました。

レスラーさんは、REM睡眠の研究が、いまだ陸生の哺乳類や鳥類が中心となっていて、昆虫やクモの研究は数が少ないと述べています。

「可動式の目というのが進化しているのは、限られた数の系統だけであり、昆虫やほとんどの陸生のクモで適応したものはあまりありません。しかし、ハエトリグモは視線を変えられる可動性の網膜管を持っています。」

フロリダ大学昆虫学部の研究者で、ハエトリグモの行動と認知能力の専門家である、リサ・テイラーさんは、クモが眠ってもおかしくないと言います。

テイラーさんは今回の研究とは関係ありませんが、「クモは素晴らしい認知能力を持っている」と言います。「日中はとても活動的で、常に動いて目から情報を常に得ているだけでなく、体の周囲にある短い体毛からも、振動や音を拾っています。」

「なので、クモの脳にはとても多くの素晴らしいものが詰まっていて、夜には小さな蜘蛛の巣によじのぼります。これら全ての情報を処理しなければなりませんので、夜中に眠るといったようなことをおこなっていてもおかしくないです。」

そして、テイラーさんはこう付け加えました。「私もよくクモが夢を見ているんじゃないかと考えにふけり、どんな夢をなのかな?と考えたりします。しかし、そういったことは芸術家の仕事として残しておいた方が良さそうです。」

研究者たちが強調するのは、クモが夢を見るのかどうかを論じる前に、クモが本当に寝ているのかを証明するのが先であり、それが次の課題だということです。しかし、今回までに得られた証拠は、それが可能であることを示唆しています。

「規則正しいピクつきと足を巻く動きが、網膜の動きと連動しているなら、その両方が同じ活動的な睡眠様段階の異なる表現であるように見えます」と彼らは述べています。

参考記事: The Guardian

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