こう寒くなってくると鳥肌も立ってきますが、別に鳥肌が立つことで暖かくなるわけでもないので、意味のない機能だなと思っていました。しかし、新たな研究で鳥肌が立つことで、毛の成長が促進されることがわかったのです。この発見は、論文はまだですが、アメリカ細胞生物学会と欧州分子生物学機構の合同学会において、ハーバード大学の研究者によって発表されています。
神経と筋肉の働きで鳥肌は立つのですが、発表によると、その時同時に皮膚内の幹細胞が刺激されて毛包ができ、毛が成長するというのです。鳥肌を引き起こす神経は交感神経で、他には瞳孔の拡大や心拍数などの自動的な反応を調節しています。その神経の一部が将来毛包を形成する幹細胞のとなりに横たわっていることが発見されたのです。
通常神経はミエリンと呼ばれる鞘で包まれて保護されています。しかし、研究者たちが発見した神経の末端は、毛包の幹細胞につながる領域がむき出しになっていました。それはまるで、電極につなぐためにリード線の先端のコーティングが外されているような感じです。
この神経はホルモンであるノルエピネフリンを分泌します。このホルモンが、毛の成長にも必要とされていることも発見されました。この発見はまた、なぜノルアドレナリンの活動を妨害する薬として知られる、βブロッカーの副作用で毛が少なくなるのかを説明しています。
毛包の隣りにある交感神経はまた、収縮することで毛を立たせる小さな立毛筋を取り囲んでおり、鳥肌を立たせます。この筋肉の成長が抑えられる遺伝子変異を持ったマウスは、この交感神経もなくなっており、同時に毛の成長にも変化が見られました。男性型脱毛症の男性も、頭皮から立毛筋がなくなっています。研究者は、交感神経と鳥肌を立てる筋肉の存在が、この種類の脱毛症にとって重要な因子となっている可能性を示唆しています。交感神経と筋肉をもとに戻すことができれば、新しい毛髪が生えてくる可能性があるというのです。
交感神経が刺激されるとノルエピネフリンが分泌されて鳥肌がたち、同時に新しい毛包の形成や、毛の発育がうながされるという研究。寒空の下我慢しながら鳥肌をたてたり、文字通り身の毛のよだつホラー映画を見てみたり、ソウルフルなバイブレーションを感じる音楽を聴いたりすると、毛が生える可能性があるということでしょうか。まだ、査読されてない研究で、信憑性に疑問も残りますが、一考の価値はあるかも!?
参考記事: Science News
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