遊びの力:辛い時こそ遊んで人生を豊かに

役立ち情報

アメリカ小児科学会(AAP)で最近発表されたレポート「遊びの力:小児の発達促進においての役割」において、遊びが発達や全体的な健康に対して重要な役割を持つことが主張されています。遊びの利点は多く、脳の構造的、活動的な促進や、身体のストレス反応の調節などが含まれます。遊びの重要性は、子どもに限られるわけではありません。大人にも同様の利点があることが研究でわかっています。

遊びの利点

AAPは遊びを、「内因的な動機により、必然的に活発な参加を伴い、結果として楽しみを発見する活動である」と定義しています。遊びは、乳児が笑顔や視線、赤ちゃん言葉を両親と交わすところから始まっています。AAPはこの遊びを「サーブ・アンド・リターン」と呼んでおり、互恵関係や、相互性、つながりや自他の区別を持つ喜びを学ぶ事ができるとしています。

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大きくなってくると、手を使ってガラガラやブロック、ボールやクレヨン、粘土や画材を使って遊ぶようになります。お話を聞いたり話したり、読んだりすることで、現実と虚構で遊ぶようになり、チームスポーツやオーケストラに参加するようになって、集団で遊ぶことを経験するようになります。収集家になるかもしれません。切手やコイン、鉱物や漫画本を集めることで、知識や所有、情熱の感覚を学びます。自然に親しむようになるかもしれません。視覚や聴覚、嗅覚で大自然の感覚に目覚めるでしょう。

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遊ぶとき、私達は成長します。リスクをとること、限界を広げること、そして、不満や失敗に対処する方法を学びます。問題の解決法や、協力の仕方、創造的になることを学びます。一緒に遊んだ人たちとつながりを作ることもできます。さらに、自分自身のとらえ方も広がり、「私はこの遊びが好きで、それをやっているときに生きてる実感を持てる」と自信を持って言えるようになります。

大人の遊び方

子供の時どのように遊んでいたか、覚えていますか?どんな遊びが好きでしたか?屋内と屋外どちらで遊んでいましたか?誰と、日中のどの時間帯で遊んでいたでしょう?遊んでいたときどう感じていましたか?遊びの研究者である、スチュアート・ブラウン氏によると、「遊びの記憶」を思い出すことは、大人になってから遊びを展開するための重要なステップです。昔の記憶から、大人になってからも楽しみを見いだせることへのヒントを得ることができます。

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四季折々に森を探索していたという記憶があるのであれば、週末にハイキングに行くといいかもしれません。自然への畏怖を感じ、子どもに戻った感覚を楽しめるでしょう。ソファーで読書にふけるのが好きな子どもだったとすれば、図書館に行って物語にふける午後を過ごすといいかもしれません。絵を描くのが好きだった場合は、新品の色鉛筆と紙を買ってきて、芸術の創造性を発揮すると良いでしょう。

子ども時代には「休息」時間と「遊びの約束」時間があって、遊びのために時間が確保されていました。大人になってからも、同じように遊んでもよい時間を設定するという方法が取れます。例えば、音楽を聴くのが良い遊びになるのであれば、コンサートのチケットを買ってしまうという手があります。この休息時間に、家族との約束や仕事が入れないようにする訳です。遊ぶスケジュールを前もって入れておくということは、真剣に考える価値のあることです。

また、遊びを日々の生活に紛れ込ませることも重要です。「瞬間的遊び」によって、楽しみを増やしましょう。様々な色の色鉛筆を用意して、仕事のノートをカラフルにすることで、楽しみを見いだせるかもしれません。カラフルな粘土を、メールチェック中にこね回すのも面白いです。SNSなどで、楽しいミームや漫画を送ってくれるようなグループに入っていると、仕事の合間などに笑えたりします。特に忙しい日など、少し外に出て歩くだけでも、緊張が緩和され、脳や体に遊びによる休憩をもたらしてくれるでしょう。

病気のときにこそ遊びは必要

気分が悪いときに遊ぶことは難しいです。体が痛かったり、頭の中が心配でいっぱいだったりすると、楽しめることなどないように思えます。こういった時にこそ、遊びは最も必要となるのです。多くのエネルギーを必要としない、静かな遊びが、役に立ちます。音楽を聴いたり、本を読んだり、クロスワードパズルを解いたりというものです。

もし、活発な遊びに一層楽しみを覚える人でも、工夫次第で気分が悪い時にも楽しむ方法はあります。例えば、テニスをするのが好きなのに、もうできなくなってしまった場合でも、ウィンブルドン大会をテレビで見ることは楽しめます。自分がもはやテニスプレーヤーであるとは思えなくなっていて、失望を感じていたとしても、テレビを見ることで興奮や喜びを感じることは可能です。見ることで追体験できるからです。野生の大自然への探検に行くだけの体力がなくなってしまったとしても、旅に関するドキュメンタリー番組を見ることで、遠方へ探検する経験を、ソファーに座ったままできます。

Photo credit: Carine06 on Foter.com / CC BY-SA

子どもたちがオモチャそのものよりも、その入った箱を気に入って遊んでいるのに気づくことがあるかもしれません。箱は、要塞や帽子、椅子や宝箱、絵を書くためのキャンバスにもなります。箱で遊ぶ子どもたちには創造性や情熱、自由な遊びが見られます。慢性的な病気を持って生きなければならなくなった時、他の人のオモチャを欲しがることはやめましょう。それよりも、子どもたちにとっての箱のようなものを手に入れるのです。その箱を使って世界を作り、喜び、興奮、楽しみを箱とのふれあいで感じましょう。その箱を使って何を作りますか?

参考記事: Psychology Today

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