豊富な資源!海水から水素燃料を分離する方法を開発

サイエンスニュース

海を再生可能エネルギー源として使える可能性が出てきました。スタンフォード大学の研究チームが、塩水から水素燃料を作る方法を見つけています。この発見は世界中の海をエネルギーの源として使える可能性の扉を開いたかもしれません。研究たちが注目したのは電気分解というよく知られた方法で、水を水素と酸素に分離するものです。再生可能エネルギーを生み出す方法として有用な方法です。

しかし、この方法にも多くの障害があります。最も厄介なのが、水の電気分解に使えるのが、純度の高い純水だけであることです。海水は電気分解のシステムを腐食させるのです。

Martin StrによるPixabayからの画像

残念ながら、純水はそれ自身得難い貴重な資源です。そこで、スタンフォード大学の化学教授ホンジー・ダイと研究チームは、塩水から電気分解装置の腐食を防ぐ方法を探求しました。「カリフォルニアでは水は貴重で現在必要とされる量でやっとなのです。」とダイ氏は述べています。

ニッケルコーティングで腐食を防ぐ

スタンフォードのチームはニッケル-鉄水酸化物と硫化ニッケルの層をニッケルフォームの芯の上に作りました。これによって下層にある金属の腐食を抑える障壁を作るのです。ニッケルフォームは導体として働き、電源からのエネルギーを伝え、ニッケル-鉄水酸化物は電気分解を行います。ニッケルのコーティングがなかったらどうなるのでしょうか?水の電気分解装置はおよそ12時間後には海水による腐食で使用不可能になります。しかし、ニッケルの層があると、装置は1千時間以上可動することが可能になるのです

まだ、海水を新しい再生可能エネルギー源として利用するには程遠いのが現状です。新たな発見は、スタンフォードの研究室の外で行われてはいないのです。しかし、科学者たちは今回の発見が、水素燃料の利用増加のための道筋を整えるであろうことを期待しています。

太陽電池などの自然エネルギーを利用する発電では、発電量をコントロールすることが出来ないため、エネルギーを蓄積する方法の併用が必要となります。蓄電池は劣化することもあり、長く使えません。しかし、電気分解で水素燃料を作れば使用に備えていくらでも蓄えることが出来ます。将来、利用価値が高まると思われる水素燃料を海水から作る技術。期待が高まります。

参考記事: engadget

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