重さ1kgの国際定義が変わる?国際原器からプランク定数へ!

サイエンスニュース

国によって1kgの定義が違っていたら困ったことになりますよね。行く国ごとに計った体重が変わったりしたら、楽しいですけど医療現場などでは困ったことになります。また、国際間での取引で大きな混乱が巻き起こるのは必至です。そのため、国際的に使われる1kgが同じになるような取り決めが行われていて、世界中でどこに行っても、同じ1kgが使えるようになっています。

その、国際的なキログラムの標準が変わります。今までは国際キログラム原器(IPK)と呼ばれる実体を持つ重りが使われていたのですが、それを永遠に変化しない定数に変えるというのです。

この決定を下すために、フランスのベルサイユで、重さと計量に関する国際会議が開かれています。この変更は、2019年の5月20日から適応される予定です。それ以降、重さの基準は変化する可能性のある実体のある原器ではなく、変化することのない定数とされることになります。

現在のIPKは、“Le Grand K”と呼ばれており、プラチナとイリジウムで出来た円筒状の重りです。1879年から、フランスの保管所で大事に保管されていて、国際的な重さの標準となっています。ポンドやオンスといった別の単位の重さも、この原器を元に決められています。

IPKの複製が世界中に行き渡っていて、計量装置の調節などに使われています。しかし、本物のLe Grand Kとコピーの間に誤差が含まれることは、原理上仕方ないこととされています。また、厳密に計測しているにもかかわらず、磨耗などによって、少しづつキログラムの標準が変わってしまうことはさけられません。

しかし、来年からそれは変わります。重さの標準が、プランク定数に変わるのです。プランク定数は、光の持つエネルギーと、周波数の間にある比例関係の比例定数です。“e=hv”という等式のhがプランク定数です。相対性理論の有名な等式“E=mc2”から、重さとエネルギーは変換可能なことがわかります。光のスピードと、時間の正確な定義によって、重さの標準を得ることができるのです。

プランク定数を厳密に定めるには、「キブル秤」と呼ばれる特別な装置が必要となります。現在までに、この装置を作り上げた研究室は世界に2つしかありません。しかし、必要な精度の計測はすでに成功しています。

単位を厳密に定めることは、精密な測定を必要とする研究にも、わずかな差を元に働く、最新の機器の開発にも不可欠です。重さの標準が、永遠に変わらないものとなることで、重さを厳密に測るためにフランスまで飛ぶ必要がなくなったことは、素晴らしいことです。

とはいえ、この変更で私達の体重が変化することはありません。1グラムでも軽くなるのであれば嬉しかったんですけどね。

元記事: New Science

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