糖質制限でケトン体回路を活性化して脂肪を燃焼させる、ケトジェニックダイエットですが、マウスの研究でインフルエンザウィルスへの抵抗力を高めることがわかりました
マウスにケトジェニックダイエットでの食事に相当する餌を与えたところ、通常の餌を与えたマウスよりもインフルエンザウィルスに対抗する能力が高まったのです。研究はイエール大学でおこわれ「Science Immunology」に論文が掲載されています。
効果のあるダイエット法、ケトジェニックダイエット
ケトジェニックダイエットとは、糖質の摂取をおさえて、代わりに肉や魚、デンプンを含まない野菜などを多く食べることで、脂肪を消費するケトン体回路を活性化して筋肉を減少させることなく体重を落とすというダイエット法です。筋肉を落としたくないアスリートなどに愛好家が多い方法でもあります。もともとは医療行為として開発された食事法であるため、安全なダイエット法であるとも言えるでしょう。
抵抗力が高まる予想外の発見
研究を指導した免疫学の岩崎明子教授は、「全く予想外の発見でした」と驚いています。研究は二人の院生によるものです。ライアン・モロニーはインフラマソームと呼ばれる免疫系の活性因子が、有害な免疫反応を引き起こすことを発見しました。また、エミリー・ゴールドバーグは、ケトジェニックダイエットがこのインフラマソームの形成を抑えることを発見しています。
二人は、インフルエンザウィルスのような病原体に反応する免疫システムに対して、食事が影響を及ぼすのかどうか、疑問に思い実験することにしました。
実験では、ケトジェニックダイエットを餌としたマウスにインフルエンザウィルスを感染させました。マウスではインフルエンザが発症すると死亡率を高めることが知られています。しかし、ケトジェニックダイエットをしていたマウスでは、死亡率が減少していました。
抵抗力が上がる原因はガンマデルタT細胞
その原因は、呼吸器の粘液の生産量が上がって、ウイルスが閉じ込められ不活化されたことです。ケトジェニックダイエットは、免疫細胞であるガンマデルタT細胞の放出の引き金となっていました。ガンマデルタT細胞は、肺の細胞系において、粘液の生産を高めるのです。ガンマデルタT細胞の遺伝子を持たないマウスでは、ケトジェニックダイエットの効果が出なかったことで、因果関係が確かめられました。
研究はマウスで行われたものであることから、人間で同じ効果があるのかどうかはまだわかりません。しかし、ケトジェニックダイエットは肝機能や腎機能に異常がなければ、害のない方法なので、試してみる価値はあります。体重を落とせて、感染症にかかりにくくなる一石二鳥のケトジェニックダイエット。始めてみるのもよさそうです。
参考記事: Medical Xpress
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