磁石は不思議です。磁石同士でくっついたり離れたり、ホワイトボードに張り付いたまま落ちてきません。誰も押さえていないのにです。何が磁石を押さえているのでしょうか?それは、磁場とそれが蓄えたエネルギーです。一体どういうことなんでしょう?
すべての磁石は2つの極を持っています。N極とS極です。これらの名前を使うのは、棒磁石の真ん中に紐をかけて吊るしたときに、N極が北を向き(北はNorthですね)、S極が南を向くからです(南はSouthです)。
磁石が方角を示すのは、地球の中心が大きくて弱い磁石になっているからです。小さくても強い磁石は地球の中心と並ぼうとします。それで北を指すのです。こうして方位磁石は機能します。
磁石はひっつくだけじゃない
もし磁石を間違った方向に向けると、お互いに離れようとします。反発するのです。つまり、2つの磁石を持って、同じ極同士(N極同士、あるいはS極同士)を近づけると反発します。やってみてください。まるで、磁石の周りに見えないゴムの層があるように反発し合います。この目に見えない層を磁場といいます。
磁石を異なる極同士(N極とS極)を近づけたときにだけひっつきます。この力を引力といいます。このとき、磁場は引き伸ばされたゴムが磁石を引っ張るように働きます。
磁石が引き合ったり反発するのはなぜ?
エネルギーという言葉は聞いたことがあると思います。エネルギーは動きを生み出すのに必要です。
止まっている車は、車のエンジンでガソリンが燃えることで動き始めます。それはガソリン内部に蓄積されたエネルギーが、燃えることで開放されるからです。
この蓄積されたエネルギーが開放された時、その一部が運動エネルギーに変わります。科学者たちはこの蓄積されたエネルギーを「ポテンシャルエネルギー」と呼び、運動エネルギーのことを「キネティックエネルギー」と呼びます。
あなたが走り出した時、あなたが食べ物を食べて蓄えたエネルギーが開放されてその一部が運動エネルギーに変わっているのです。
では磁石ではどうなっているのでしょう?すべての磁石を取り囲んでいる磁場が蓄積されたエネルギーを持っています。しかし、磁石を取り囲む蓄積されたエネルギーの量は、方向を変化させることで変わります。そして、変化させた方向によって、磁石がどちらに動くのかが変わってきます。
覚えておきたい法則
宇宙に有るすべてのものは法則に従っています。すこしだけ、この法則について説明させてください。なぜ、物質がこの法則に従うのかを知るには、複雑な数学が必要になるのですが、ここでは説明しません。ただ、この宇宙ではそのように振る舞うと言うに留めます。
その法則は、物体に蓄積エネルギーがある場では、物体がくくりつけられたりピンどめされてない限り、蓄積エネルギーが減少する方向へと物体は押し出されるというものです。蓄積エネルギーが減少することで運動エネルギーに変わるのです。
なので、もし磁石が異なる極同士向き合った場合、お互いに近づくことで磁場に蓄積されたエネルギーは減少します。磁石は蓄積エネルギーの量が減少する方向へと押し出されます。つまり、磁石はくっつくのです。この力を引力といいます。
もし、磁石が同じ極同士で向き合った場合、蓄積エネルギーが減少するのは、磁石が離れる方向へ動いたときです。法則によると、磁石は蓄積エネルギーの量が減少する方向へと押し出されるのですから、磁石は逆方向へと動きます。この力を斥力と呼びます。
また、ものが落ちるときのことも説明します。物体は地球への引力に引かれて落ちます。これは磁力によるものではありません。ここで働いているのは重力です。地球は磁場だけでなく、重力場でも囲まれていて、同じように蓄積エネルギーを持っています。
磁力とは異なり、重力は反発することはありません。重力は一方向へしか働かないのです。そのため重力にはN極もS極もありません。
磁場の蓄積エネルギーを無限に引き出すことはできるの?
できません。
2つの磁石がくっついたら、他の蓄積エネルギーを使って磁石を引き剥がし、もとの場所へ戻す必要があります。何もないところからエネルギーを得ることはできないのです。
磁石を引き剥がすのに必要なエネルギーはあなたが持っていたもので、そのエネルギーは食べ物が持っていたものです。あなたが食べた植物や動物は、そのエネルギーを他の植物や動物、あるいは太陽エネルギーから得ています。すべてのエネルギーは他のなにかを由来にしています。
参考記事: The Conversation
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