遺伝病の検査を簡単で使いやすくするために、遺伝病の遺伝子変異をCRISPR技術を使ってずっと簡単に検出できる携帯型の装置を科学者たちが生み出しました。
装置を開発したのはケック大学院研究所の生物工学者キアナ・アランです。装置の見た目は血糖値測定器に似ていますが、精製したDNAサンプルにデュセンヌ型筋ジストロフィーの変異があるかどうかの解析をたった15分間のうちに行うことができます。従来の方法では数週間待たされることになるため、大きな改良と言えます。研究結果は「Nature Biomedical Enginnering」で発表されています。
装置には、グラフェンで出来た半導体が使われており、血液サンプルから得られた量のDNAを追跡できるほどの感度があります。しかし、解析前にDNAを抽出して精製する必要があるため、変異のスキャンにかかる時間は血糖値を測るよりも長くはなっています。
しかし、この装置を使えば検査の方法が、現在の方法よりもずっとシンプルになります。普通、遺伝子をふるい分けるには、実験室での多くの操作が必要となります。DNAを複製してサンプルを増幅しなければ解析できません。しかし、今回の装置ではその手間はいりません。
現在FDAに臨床装置として認可をもらうために、装置の信頼性を保証できるように研究が進められています。
現在、アラン博士と研究チームはデュセンヌ型筋ジストロフィーの診断技術の開発に集中しています。この病気が発覚するのは、症状が出てからで、診断が行われるのは遺伝子的にそれを確認するためです。
研究は、普遍的に使える試験装置を作るところまでを目的とはしていません。他の遺伝子状態や変異を検出させるためには、新しい遺伝的バイオ標識に装置を合わせるなければならないからです。しかし、アラン博士は将来的には他の遺伝子の診断にも研究範囲を広げたいと思っています。
CRISPR技術を使っているため、原理的にはどのような遺伝子変異にも簡単に対応できます。遺伝子検査が簡単になり、時間も短縮されるのです。一般に広く使われるようになれば、病気が発症する前の診断などにも使えるようになるでしょう。将来の医療で幅広く使われることが期待できる技術です。
参考記事: World Economic Forum
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