月でも地震が起きるのは月が収縮しているから

月の断層 サイエンスニュース

月が縮んで地震が起きてるだって!?

月で起きる地震のことを月震と言います。アポロ月面着陸船で月に降り立った宇宙飛行士たちが設置した地震計によって、月震は観測されています。このアポロミッションで得られた地震波のデータを解析した結果、月震の原因が、月の収縮であることがわかりました。研究はメリーランド大学の研究者らによっておこなわれ、「Nature Geoscience」で発表されています。

アポロ計画時代のデータからの新発見

データが取られたのは、1969年から1977年にかけてです。解析は新しいアルゴリズムを使って行われました。それによって、月震が起きた場所を特定でき、地層の浅い部分で起きていることがわかったのです。

次に、地震のデータを衛星画像上の衝上断層にマップしました。衝上断層とは、上の層が下の層より緩い角度でせり上がった逆断層のことです。衝上断層の高さは3.5メートル以上、長さは1.6km以上でした。画像はルナー・リコネサンス・オービター(LRO)による詳細なものです。

その結果、月震の25%がこれらの断層でエネルギーが解放された時に起きたことがわかりました。隕石の衝突による月震や、月内部の活動によるものではないのです。

断層は月面に広く分布して、ネットワークを作っており、5千万年の古さであると見積もられています。その年代と、分布から断層が月の内部が冷えて収縮したことでできたと考えられます。

今もなお月は収縮し続けている

アポロミッションで得られた月震のデータは28回で、その規模は地球の地震で言えばマグニチュード2から5の間です。そのうち8つの月震が31kmの長さの衝上断層の近くにマップされ、震源がこの断層であると考えるに足る証拠となっています。そのうち6つの地震では、月が地球から最も遠ざかる点で起きていました。この地点では重力の影響によって地殻が引っ張られるため、地震のきっかけになります。

LROによる画像から、月の収縮が未だに続いていることがわかります。ということは、月震も続いているということです。LROの画像から、衝上断層の近くで石の散乱や地滑りが確認されています。それらのイベントで露わになった領域から、月震活動が最近起きたもので、断層の活動がまだ続いていることがわかります。

地球以外の天体でテクトニクスの証拠が得られたというのは、驚くべきことです。また、アポロミッションの時期という古い時代のデータを再解析することで最新の知見が得られたというのも驚きです。研究者たちは、再び月に人を送って、地震計のネットワークを作り、月の地質学の知見を深めたいと考えています。各国の宇宙機関や、民間宇宙企業が月へ人類を再び送ろうという動きは加速しています。月に人類が定住して研究するようになれば、この近くて遠い隣人についてもっと深く知ることができるようになるでしょう。

参考記事: Live Science

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