自己認識やメンタルヘルスを改善する3つの書き物

書き物 心理学

アーネスト・ヘミングウェイの名言で、物書きは痛みを与えるものをしっかりと明確に記さなければならないというものがあります。当時のヘミングウェイは知らなかったにちがいありませんが、研究によると、痛みを与えるものについて書くことは精神の健康を改善する役に立つ可能性があることが、現在では示されています。

ヘミングウェイ

Anne & Saturnino MirandaによるPixabayからの画像

200本以上の研究で、精神の健康への書き物の好影響が示されています。しかし、多くの人たちで一貫して精神への好影響が見られた一方で、書き物がなぜ、どのように精神の健康に寄与しているのかという謎に対して、研究者たちの間で完全な合意はありません。

ある理論によると、感情を隠すことは精神的な苦痛を引き起こす可能性があります。そこで、書き物が提供する安全で秘密を保持できる自由な方法で感情を開示することで、メンタルヘルスが増強されると考えるのは理にかなっています。

しかし、最新の研究では、単に感情を開示する以上に、自己認識が増すことがメンタルヘルスの改善の鍵となっている可能性が示され始めてきています。

要するに、自己認識によって注意力を自己の内面へと振り向けることができるのです。内面へと注意力を向けることで、私達の特質や振る舞い、感じ方や信念、価値観や行動の動機にもっと気づくことができるようになります。

研究によると、より自己認識が深まることは多くの面で有益でありえます。自信が深まったり、他者をもっと受け入れるようにうながされたりといったことです。また、仕事の満足感を高めたり、もっと有能なリーダーになるように後押ししたりといったこともあるでしょう。そして、セルフコントロールがうまくなるように練習する助けとなったり、長期の目標に一致したよりよい決断を助けてくれるかもしれません。

自己認識には段階があり、練習することによってすべての段階で改善することができます。書き物は自己認識を深めるのに特に有効かもしれません。というのも、毎日練習できるからです。書いたものを読み返すことで、私達の考えや感じ方、行動や信念への深い洞察をえられるでしょう。

次の3種類の書き物は、あなたの自己認識を改善できます。つまり、精神の健康を改善できるのです。

エクスプレッシブライティング(筆記開示)

エクスプレッシブライティングはセラピーの場面でよく使われているもので、ストレスの原因となっている出来事に関連した考えや感情を書くように指示されます。この種の書き物の目的は、難しいことを感情的に処理する助けとすることです。

研究によると、エクスプレッシブライティングは自己認識を高めることができ、その結果としてうつの症状や不安、ストレス感度を抑えます。

リフレクティブライティング

リフレクティブライティングはプロの現場で定期的に使われており、しばしば看護師や医者、教師や心理士、ソーシャルワーカーが仕事をもっと効率的にする助けとなる方法として使われています。リフレクティブライティングの目的は、学習や進歩のために、人々が信念や行動を明確に評価する手段を提供することです。

内省的に書くためには、自分自身に質問し、絶えず開示的で好奇心を持ち分析的であることが要求されます。また、経験や交流から学べるようにすることで、自己認識を高めることができます。これにより、精神の健康の主要な指標である、プロとしてまた個人としての人間関係や仕事のパフォーマンスを改善できます。

クリエイティブライティング

クリエイティブ

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詩や様々な長さの小説は、全てクリエイティブライティングの一種と考えられています。普通、クリエイティブライティングは想像力やその代わりに記憶、またはその両方を動員し、それを伝えるために修辞表現や暗喩といった文学手法を用います。

クリエイティブライティングによって、考えや感情、アイディアや信念を探求する独創的な方法が提供されます。例えば、あなたは気候変動へのあなたの不安を代弁したSF小説を書くこともできるし、あなたの友情に関する信念を語った子供向けの物語を書くこともできます。また、あなたは不眠症を表す方法として、フクロウの観点から書かれた詩を書くことさえできます。

また、悲しみのような難しい経験について創造的に書くことで、複雑で難しすぎるために直接語ることのできない感情を誰かに伝える方法が得られるかもしれません。

クリエイティブライティングは、人々が伝えたいと思っていることを実際に捉えるような方法で、言葉や暗喩、イメージを選ぶことをうながします。この創造的な意思決定は、自己認識や自尊心を強化し、同時に精神の健康を改善することにつながるでしょう。

自己認識のための書き物

自己認識は精神の健康にとって鍵となるものであり、書き物はその素晴らしいスタートラインです。

パンデミックの間に起こった特にストレスとなった出来事について、あなたの感じたことを書くための時間をとってみてはどうですか?または、昨年難しかった仕事の場面を内省したり、その経験から何を学んだか考えてみましょう。

もしあなたが、もっと創造的なものを好むなら、詩や物語を書くことで次のヒントに答えましょう。

私達が置かれた現在、あなたの家で明らかになった様子を思い浮かべてください。食料庫は小麦粉でいっぱいですか?孤独や退屈を避けるための新たな品物やペットがあなたの家にはありますか?この歴史的な瞬間にあなたの家の窓からは何が見えますか?

これらの書くためのヒントはどれも、今年起きたことを内省する機会をあたえ、あなたに重要な質問を尋ね、創造的な選択をさせるでしょう。たった15分間書き物に費やすことで、もっと自己認識が深まる機会が与えられるでしょう。そうすることで、メンタルヘルスの改善につながるのです。

参考記事: Science Alert

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