実はサルが作ったものだった!5万年前の石器の正体

生物学
  • ブラジルで見つかった古代の石器はオマキザルが作ったものであると、研究者たちが主張。
  • これまで、これらの石器は、初期の人類がこの地域に住み着いていた証拠であると考えられてきた。
  • オマキザルはいろんな種類の石器を作る能力があることが示される。

ブラジルで見つかっている石器は、初期の人類によってではなく、オマキザルによって作られたものであると研究者たちは考えていると、芸術やデザインのウェブサイトArtnetが、学術論文を引用して報告しています。

オマキザル

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考古学者のオーグスティン・M・アグノリン氏と古生物学者のフェデルコ・L・アグノリン氏は、査読付きの科学誌「Holocene」11月号で論文を発表し、その中で「私たちはブラジルの古代遺跡がヒトによって生み出されたものではなく、オマキザルに属するものである可能性について、自信を持っています。」と主張しています。

記事では、ブラジル北東部ピアウイ州の800以上の遺跡群であるペドラ・フラダの発掘で、考古学者たちは、現地で形成された石英や珪岩の小石で出来た古代の石器であると考えられるものを発掘しているとしています。

記事によると、石器の中で最も古いものとしては、5万年までさかのぼっており、これをもとに、当地に初期の人類が生息していたとする証拠として、いくつかの学説が導き出されています。

しかし、2016年に思いもよらない発見があり、こういった学説は試練にさらされます。

その発見が示していたのは、ブラジルの北東部にすむオマキザルが、石でできた様々な道具を作ったり使ったりする能力があるということです。2017年には、ヒトではなくこういったサルが、ペドラ・フラダで発見された石器を作った可能性が最初に示唆され、その可能性は高まりました。

Holoceneに発表された論文の著者である2人のアグノリンさん達によると、これらの道具をヒトが作ったのではないことを示唆する証拠は現在かなりの数になるということです。

小石

UnsplashMathieu Turleが撮影した写真

「こういった証拠に対して私たちが行ったレビューでは、ブラジルの古代の遺跡は実際には最初のアメリカ人を示すものではなく、サルの行動によるものであることが示唆されています。」とフェデリコ・L・アグノリンさんはアルゼンチン国立科学技術研究評議会(CONICET)で語っています。

研究者たちは、ペドラ・フラダで見つかった石器とオマキザルが現在に作った道具を比較しました。

「結果は驚くべきものでした。5万年前にヒトが作ったとされる石器と、サルが最近作ったものに違いがなかったのです。」とオーグスティン・M・アグノリンさんはCONICETで語っています。

過去の研究を精査し、オマキザルの集団を観察したところ、サルたちは、木の実や種の鞘を割って開けるために、小さな石をハンマーとして使い、大きくて平らな石を金床として使っていることがわかりました

「その結果、使われた石は頻繁に壊れ、石の破片を生み出しますが、それは、薄い石器をヒトが作るときにできるものと極めて似たものでした。」

それに加えて、研究者たちは、ヒトが生息した痕跡、特に炉や食べ物の残りといったものがないことを挙げています。

「私たちの研究は、ブラジルのペドラ・フラダやほかにも近くの場所から出てきた石器が、今をさかのぼる5万年もの間、オマキザルが木の実や石を砕いたときに生み出されたもの以外の何物でもないことを示しました。」とフェデリコ・L・アグノリンさんはCONICETで述べています。

古代人が作ったと思われていた石器が、実はサルによって作られていたというのは面白い発見です。見つかった古いものが5万年前ということで、その時からサルが道具を作っていたということになります。道具を使う頭のいい動物はほかにもいるので、他にも似たように誤解されている遺跡があるかもしれませんね。

参考記事: Business Insider

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