雪だるまかBB-8か!元旦に探査機が到達した最遠天体の姿

サイエンスニュース

2019年の初日にNASAの探査機「ニュー・ホライズンズ」が、冥王星よりも遠い小天体「アルティマ・スーリー」に到達し、その姿をカメラでとらえて地球に送ってきました。探査機が到達した天体としてはもちろん最遠の天体ということになります。

アルティマ・スーリーは、カイパーベルトと呼ばれる領域にある小天体です。カイパーベルトは海王星軌道よりも外側にある、多くの天体が散らばる領域のことを言います。

画像からは天体上の凹凸から色の変化までもはっきりと見て取れます。その姿は、まるで雪だるまかスターウォーズに出てくるドローン「BB-8」のようです。2つの丸い天体が重力でくっつくことでこのような形になりました。

Credit: NASA

小惑星がこのような形をしていたことが明らかになったことで、「惑星がその形成過程で小さな岩がゆっくりと集まる」という説の信用度が増すことになりました。アルティマ・スーリーは、太陽系内の天体の中でも、最も古く変化の少ない天体であると考えられています。そのため、どのようにこの天体が形成されたのかがわかれば、惑星がどのように形成されたのかが明らかになる可能性があるのです。

 

28,000km離れた位置からの観察からは、アルティマ・スーリーが長さ33kmの大きさであることがわかりました。2つの球の比率は1対3です。2つの天体が接合している部分は狭くなっていて、そこは天体の他の部分よりも白くて明るくなっています。これは、表面にある小さな粒子がこの「首」部分へと転がり落ちたためであると説明されています。この明るい部分は太陽光の13%を反射していて、一方の暗い部分は6%しか反射していません。

他にも観測からわかったことは、アルティマ・スーリーが15時間で1回転の自転をしていることです。この数値は、小さな天体として予測される値とぴったり一致するそうです。

小天体は2つの球状の天体からなりますが、それぞれの球は、小さな岩がゆっくりと集まって固まり大きな岩になったと説明されています。そのスピードはぶつかった衝撃で散り散りにならないくらいのスピードです。また、それぞれの球は、大きいほうがアルティマ、小さい方がスーリーと呼ばれていますが、最終的にこの2つの間でも衝突がありました。そのスピードは非常に遅く、ほんの時速数kmです。車で例えると、駐車場に止める時程度のスピードです。

Credit: NASA/JHU APL/SwRI/Steve Gribben

また、ニュー・ホライズンズは、アルティマ・スーリーの色もとらえています。その色は赤く、メタンや窒素の氷が放射線によって変化したことから赤くなったと、研究チームは考えています。しかし、その氷が何でできているのかについてはまだはっきりとはわかっていません。

ニュー・ホライズンズは、収集したデータを地球に送り続けています。通信速度はとても遅いため、完了するまでには18ヶ月もかかるそうです。しかし、データが届くたびに新しい発見があるでしょう。雪だるまのようなかわいい小天体ですが、宇宙規模で見ても連星を形成する恒星は多いと言います。宇宙の一般則として、2つの物が引きあうようにできているとすれば、男女がひかれ合うのも宇宙の摂理なのかもしれませんね。

この雪だるまのような天体、実は平べったいせんべいがくっついたような形であることがその後の調べでわかっています。雪だるまじゃなかったみたいです。

参考記事: Science News

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