温度はどうやって伝わるの?真空な宇宙で、温度が伝わる理由

わかる!科学

宇宙は真空で何もないのに、太陽から温度が伝わっているのはなぜでしょう?

保温機能の優れた水筒である、魔法瓶は容器の隙間を真空にして温度を遮断しすることで、暖かいお茶や、氷水の温度を保っています。宇宙にも物質はありますが、その殆どは何もない真空なので、温度は遮断されているはずです。それなのに、日差しは暖かく感じます。なぜでしょう?

その答えを探す前に、まず温度が一体何であるのかを見てみましょう。あなたが触れたり見たりできるものは、全て小さな粒子である原子でできています。原子はとても小さいので、特別に設計された高価な電子顕微鏡でも使わない限り、見ることはできません。しかし、宇宙にある全てのものはこの粒子でできているのです。

Image converted using ifftoany

何かが熱いということは、この原子が沢山のエネルギーを持っていて、そのエネルギーで跳ね回っていることを意味します。何かが冷たいということは、原子のエネルギーが低くあまり動かないということです。

宇宙がある種の真空であるというのは正しく、原子でできた物質は宇宙空間にはあまり漂っていません。あまり、というのは完全に物質がない訳ではないからです。恒星や惑星、彗星などを無視したとしても物質は薄く漂っています。実際、太陽は常に物質を放出しており、それは太陽風と呼ばれています。オーロラが見られるのはこの太陽風が原因となっています。

しかし、太陽風はあまり濃くありません。大気の密度よりも、ずっとずっと薄いのです。なので、太陽風が熱を伝えることはほとんどありません。そのため、太陽の熱が地球に届くことを太陽風では説明できないのです。

熱が伝わる方法には、3種類あります。「熱伝導」、「対流」、「熱放射」です。この内どれが、宇宙で熱を伝えているのでしょうか?順番に見てみましょう。

熱伝導

熱伝導は、接触による熱の移動に付けられた科学用語です何か温かいものに触れると、熱はあなたの方に移動します。何か冷たいものに触ると、熱はあなたからその物質へと移動します

鉄のような物質は、伝導体として優れています。ガラスのような物質は、伝導体としては能力が低く、断熱材と呼ばれます。

熱が伝わるのは、直接その物質を触った時だけではありません。例えば、熱いお茶に触れている金属製のスプーンを触るとします。熱はお茶からスプーンへ移動し、次にスプーンからあなたの手へ移動します。

Photo credit: sheshakes on Visualhunt / CC BY-NC

私たちは直接太陽を触っている訳ではありません。(太陽の表面は5,000℃もあるので、触っれたら大変なことになります)。また、宇宙は真空なので、スプーンと同じ役割をして熱を伝導することはありません。なので、宇宙で熱が伝わる理由から、熱伝導は除外できます。

対流

対流は流れる流動体を介した、熱の移動法です。液体と気体は熱を対流できます。原子は熱い領域から冷たい領域へと流れ、持っているエネルギーを一緒に運びます。

お風呂に入っていて、お湯が冷めてきたとします。温めるために、蛇口をひねって熱いお湯を出しますよね。その時、蛇口から出てきた熱いお湯が対流して、湯船を巡るのを感じることができます。

 

熱い原子は冷たい原子にぶつかると、熱伝導によってエネルギーを分け与えます。それは、湯船の温度が一定になるまで続きます。

しかし、宇宙は真空です。そこには太陽の熱を対流して地球に伝える液体も気体もありません。なので、対流も理由から除外できます。

熱放射

太陽のような熱を持った物質は、私たち人間であっても、熱を放射しています。物質内の原子が動いたり振動したりするときに、電磁波を放射するのです。これを熱放射と言います。

電磁波は波長によって性質が変わり、スペクトラムを作っています。虹を作っているのは、「可視光」のスペクトラムです。可視光以外の電磁波を人間は見ることができません。その中には、温かい物体が放射する赤外線や、電子レンジで食べ物を温めるマイクロ波があります。

熱伝導や対流と違って、熱放射は熱を伝えるのに介在する物質を必要としません。エネルギーは太陽から放射され、真空の宇宙を光の速さで飛んでいきます。このエネルギーは地球に到達すると、あるものは大気中の空気へと移動します。またあるものは大気を通過して地表にぶつかり、そのにある原子へと移動します。そして、あるものは私たちの皮膚に吸収されるのです。

Photo on VisualHunt

地面が太陽放射のエネルギーを吸い上げると、熱を発します。その熱は熱伝導を介して他の物質へと移動します。そして、夏のアツアツの砂浜は、あなたの足を飛び上がらせるのです。また、ある熱は対流によって風や海流をうみます。また、ある熱は熱放射で再び宇宙へと帰っていくのです。
つまり、真空の宇宙を熱が伝わるのは、エネルギーを持った電磁波による熱放射が原因だったのです。

参考記事: The Conversation

コメント

  1. […] ます。熱放射は真空中を伝わり、物体に当たると熱を発します。 […]