地球上から植物が減少中!温暖化による空気の乾燥が原因

dried earth エコロジー

地球温暖化によって植物の減少が加速していることがわかりました

Science Advance」で発表された新たな研究で、地球上の植物が減っている原因が人類の活動によるものだということがわかりました。大気中の水蒸気量の変化が原因で、1990年代後半から地球上の緑が失われて来ています。ある温度で大気中に含むことのできる水蒸気量の上限と、実際の水蒸気量の差である飽差(VPD)によって、植物による緑化の傾向が減少に転じていることがわかったのです。研究は、中国の中山大学のウンピン・ユアンらによって行われています。

温暖化による飽差の増加は乾燥した空気をもたらす

大気の温度が上がると、その大気の中に存在できる水蒸気量も増えます。その水蒸気量を超えた分は液体の水として溢れ出て来ます。雨や霧になるわけです。逆に、水蒸気が少ないと、上限に達するまで大気中に水分が吸収されます。乾いた空気となるのです。温度が上がれば上がるほど、吸収される水の量は増えます。

VPDが高い状態を水を吸い上げるポンプにたとえてみるとわかりやすいでしょう。土壌や植物から水分を吸い上げることで、それらを乾燥させます。植物は水分が漏れ出すのを感知すると、気孔を閉じて水分が失われるのを防ぎますそれは同時に二酸化炭素の取り込みも防ぐことになってしまうため、光合成が止まり、成長が阻害されるのです

1990年代後半から、飽差の拡大と地上の植物の減少が始まる

緑の地球

Photo credit: ccPixs.com on Visual Hunt / CC BY

地上の植物が覆っている面積は1982年から98年には増加していました。1990年代後半に先立って、VPDがわずかに上昇していることがデータで示されています。その後、上昇ペースを上げ、17倍までの速さで増加を見せます。VPDはそれ以降上がり続け、過去数十年にわたって、森の死滅理由の中で最大のものとなっていると、論文は指摘しています。状態に変化がなければ、温室効果ガスの効果はもっと強まるでしょう。植物が減るということはまた、作物や草本、森林資源の減少を意味します。

データから、植物の生えたエリアの53%から64%が、1990年代後半以降、VPD上昇傾向の影響を受けています。問題なのは、これから悪くなる予想しか立たないことです。研究者は、今世紀中はVPDが上昇し続けると予想しており、将来の気候への生態系の反応を評価する際に、その影響を考慮すべきだといっています。

地球温暖化の原因とされる二酸化炭素が増えると、二酸化炭素を原料に光合成する植物は当然、より成長するものと思っていました。しかし、今回の研究では地球温暖化による飽差の増加で、結局光合成が阻害されることがわかりました。とすると、温暖化によって植物が減り、更に温暖化が進むという負のスパイラルに入ってしまうことになります

植物の減少自体も食料の減少を招くことになり、人口増加が続く地球にあって、食料をめぐる争いに発展しかねません。将来に大きな不安を投げかける地球温暖化。全世界で協力して対処すべきときに来ています。間に合わなくなる前にどうにかしないといけません。

参考記事: Bloomberg

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